iPhoneで自然文検索が可能なアプリを容易に開発できるフレームワーク

柴田克己(編集部)2010年07月20日 17時38分

 モンスター・ラボとアイエニウェア・ソリューションズ(アイエニウェア)は、「会話体」の文章からユーザーの要望にあったレストランを検索できるiPhone向けアプリケーション「iCRUSE」を無償で配布している。

 iCRUSEの特徴は、例えば「赤坂のイタリアンで、ワインがいっぱいあるところ」「深夜営業している千代田区の焼肉屋」といった「会話体文章」での検索が可能な点だ。会話体で入力された文章は、サーバ側で文章解析、文脈追跡、推論といった処理が行われ、その内容にあった検索結果が提示される。また、画面下には「ヒント」と呼ばれるいくつかのフレーズが表示され、それを使ったさらなる絞り込み検索や、特定の検索条件の削除なども行えるようになっている。なお、検索対象はリクルートの提供するウェブサービス「FooMoo byホットペッパー」に登録されたデータとなる。

 従来の主流である「店の場所」「ジャンル」「人数」「値段」といった属性情報から段階的に絞り込んでいく検索方式とは異なり、iCRUSEでは、入力された文章の分析結果から導き出された複数の「キーワード」を並列的に使って検索が行える点がポイントとなる。また、バックエンドではユーザーが好んで使うキーワードを「好み」として解釈するパーソナライズ検索技術が稼働しており、ユーザーはアプリを使い込むことによって、より多くの場面で好みの店を検索することが可能になるという。

  • 無料のiPhoneアプリ「iCRUSE」

  • 自然言語でのレストラン検索が可能

  • 検索対象は「FooMoo」に登録されているもの

デモアプリとしての「iCRUSE」

 iCRUSE提供の背景には、モンスター・ラボとアイエニウェアが共同で開発した「iPhone向け自然言語解析アプリケーションフレームワーク」がある。これは、アイエニウェアの自然言語解析検索エンジンである「Answers Anywhere」を核としており、多くのウェブサービスやiPhoneアプリの開発実績があるモンスター・ラボがiPhone上でのユーザーインターフェース開発をはじめとする実装を行った。

 このフレームワークの共同開発にあたっては、「今後、ビジネスユースの端末としてiPhoneやiPadが使われるケースが多くなる」との展望がある。ウェブサービスや企業内システムを対象にiPhoneから「検索」して情報を引き出すというニーズは、コンシューマー分野とエンタープライズ分野の双方で、今後高まると思われる。そのようなアプリケーションを構築したい場合に、両社が開発したこのフレームワークを使うと、開発の期間や手間、ひいてはコストを大幅に削減できるという。

 モンスター・ラボ、テクノロジーグループリーダーの松井健氏は、「(対話型検索のアプリケーションを作るにあたって)Answers Anywhereをベースとしたアプリケーションフレームワークを使うことで、アプリケーションを構築するための仕組みと、テストをするための仕組みがオールインワンで提供される。スクラッチから開発するよりも、大幅に効率がよい。キーワードに対する全文一致検索や階層型の絞り込みではなく、複数にまたがったカラムに対して自然言語の分析結果から並列的にクエリを出す仕組みはほかにあまりない」と話す。iCRUSEは、そのフレームワークによるアプリケーションの挙動をデモンストレーションするサンプルとしての意味合いが大きい。

 両社では今後、それぞれの強みを生かしつつ、iPhone向けモバイルソリューションの導入を検討している企業やシステムインテグレーターに向け、同フレームワークを含めたエンタープライズモバイルソリューションの提案を行っていくという。位置情報や地図情報、メールとの連動などを考慮した営業支援系のシステムや、iPhoneのモビリティやユーザビリティの高さを生かしたフロントスタッフ向けの在庫管理システム、企業情報ポータルへの展開など、想定できる範囲は広い。モンスター・ラボとアイエニウェアでは「iCRUSE」の5万件ダウンロードを目指すとともに、同様のパーソナライズ検索アプリの多分野展開を予定しているという。

 なお、Answers Anywhereによる自然言語検索のデモとして、両社では「iCRUSE」のTwitterボット版も公開した。ボットのアカウント「@i_cruse」に対して、「神保町のカレー」「お台場でオープンエアのランチ」といった言葉を送ると、検索結果の上位1件を「このお店はどう?」と返してくれる。結果によっては、絞り込み候補の「ヒント」を提示してくれることもある。Answers Anywhereの独特な検索方式を体験してみたいTwitterユーザーは、一度試してみてはどうだろうか。

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