「ライブ感を共有しつつ、ネットならではの付加価値を与える」
7月6日に都内で開かれたドワンゴのライブ事業戦略発表会で、同社取締役の夏野剛氏はこう語り、今後「ニコニコ動画」上で、ネットとライブを融合した新たなエンタテイメント事業を展開していくことを発表した。
2006年12月にサービスを開始したニコニコ動画の登録会員数は現在、約1750万人にのぼり、そのうちの約86万人が有料のプレミアム会員だ。今年の3月期にはついに黒字化を達成したが、夏野氏は「ユーザーをさらに増やしていくためにも、進化を止めてはいけない」と話す。
そのための新たな挑戦がライブ事業となる。ニコニコ動画上で、音楽イベントやミュージカルの様子を生中継するというもので、来場者向けのリアルチケットと、インターネット上でライブイベントが楽しめる低価格のネットチケットを発売する。
同社では、昨年の11月14日から2月6日までの間、仙台や大阪など全国8カ所で「ニコニコ大会議 2009〜2010 ニコニコ動画(9)全国ツアー」と題したイベントを開催したが、今年も全国7カ所をまわるツアーを行うことを発表した。また、今年から来年にかけて3度に渡り「大会議」を行うという。
夏野氏は、ライブでの迫力や一体感には重要な価値があるとした一方で、リアルでは来場者数や距離など物理的な限界があると指摘。「そこをインターネットで保管しつつ、コメントを共有するニコニコ動画でしか味わえないライブ感を提供していく」、とライブ事業に対する意気込みを語った。
さらに、「テニミュ(テニスの王子様ミュージカル)」を手がけた片岡義朗氏をエグゼクティブ・プロデューサーに迎え、劇場の中の出来事を生中継する「ニコニコミュージカル」も展開する。
ホリエモンこと堀江貴文氏が演劇に初挑戦する「クリスマスキャロル(仮)」、ニコニコ動画の有名人達が一堂に会しミュージカルを熱演する「ミュージカル ニコニコ動画(仮)」、現在もアニメで活躍する女性声優陣がミュージカルを行う「ニコニコニーコ(仮)」の3作を用意しており、ニコニコ動画上から書き込まれたコメントは舞台上の役者や来場者にも共有される。
片岡氏は、従来のミュージカルや演劇のチケット代が高額であるという課題を解決してくれるのがネットチケットだと話し、座席数に上限のないインターネットでの視聴者が増えることで収益が確保できれば、リアルチケットの低価格化も可能になるとした。
また、動画が違法にアップロードされ、誰でも無料で視聴できてしまうインターネットの現状を挙げ、「ネットはタダという概念を訂正していきたい」と語った。なお、ネットチケットを購入して視聴できる動画の違法コピーやアップロードへの対策も進めていくという。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」