ネットワンシステムズは6月21日、米SeaMicroと販売代理店契約を結び、SeaMicroが開発するサーバ「SM10000」を7月30日から販売することを発表した。価格は2335万円から。
SM10000は、CPUにインテルの省電力プロセッサ「Atom」を採用し、8個のAtomが搭載されたコンピュータカードを64枚搭載して、全体でAtomを512個格納する。同様の性能を1Uのラックマウント型サーバで構成すると台数40台、2ラックという大きさになってしまうが、SM10000では高さ10Uですむ。メモリはサーバ全体で1テラバイト(TB)、サーバ内部にストレージとスイッチ、負荷分散(ロードバランサ)、サーバ管理機能を搭載している。SeaMicroのAnil Rao氏(共同創業者、プロダクトマネジメント&マーケティング担当バイスプレジデント)によれば、「SM10000は、既存製品と比べて設置面積が4分の1、消費電力が4分の1」になるという。
SeaMicroは、SM10000を開発するにあたり、CPUのI/Oを仮想化することで、プロセッサとメモリ、特定用途向けIC(ASIC)で構成されるマザーボードの部品を90%削減して、マザーボード1枚の大きさをクレジットカードサイズにまでまとめている。1枚のコンピュータカードにはこのマザーボードが8枚搭載されている。こうした構成を取ることで、消費する電力を削減し、512個のAtomが搭載されるSM10000の商品電力は2kW以下に抑えられるとしている。コンピュータカードはシステムが稼働したまま交換可能だ。
SeaMicroが開発するASICは、512個のAtomをつなぐ役割も果たしており、「多次元輪環」と呼ばれる技術を活用して1.28Tbpsのインターコネクトファブリックを実現している。このインターコネクトファブリックは「ロスレスであり、EthernetやSATA、ファイバチャネル、FCoEなどプロトコルに依存しない構造であり、ギガビットEthernetと比較しても、遅延時間が5分の1に、消費電力量も6分の1に抑えられる」としている。
またSM10000は、サーバ管理と負荷分散の機能を内蔵。512個のプロセッサの稼働率と状態を常に把握、動的に負荷分散を調整することもできる。管理機能から、サーバ全体を最も効率的に稼働させるために、プロセッサの利用率を高めることもできる。また、重要なアプリケーションへのリソース割当を確保するために、利用率に応じて動的にプロセッサを加えたり減らしたりすることもできるという。
消費電力が同等の性能の既存サーバと比べて4分の1というSM10000を開発した背景についてSeaMicroの共同創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるAndrew Feldman氏は「消費電力量はデータセンターの重要課題」と説明する。Feldman氏によれば、ネット企業にとって「電力コストは運用維持費全体の30%以上を占める最大の項目」という。また、「Googleはサーバ稼働に必要な電力コストは購入価格よりも高くなると主張している」と説明する。こうした背景から、SM10000の消費電力が市場において大きな意味をもたらすとFeldman氏は説明している。
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