トヨタ自動車は10月3日、コミュニケーションロボット「KIROBO mini」を2017年に発売すると発表した。本体価格は3万9800円で、東京都と愛知の一部販売店で先行販売を予定しており、ウェブサイトで事前予約を受け付ける。
KIROBO miniは、座った姿勢で高さ10cm、重さ183gと手のひらに収まるコンパクトサイズのロボット。設定年齢は5歳児ぐらいをイメージしており、話しかけた人の方向に顔を向け、顔や手などを動かしながら何気ない会話が可能。トヨタでは、「コミュニケーションパートナー」と呼んでおり、クルマづくりと共通する「人に寄り添い、心を通わせる存在」を目指しているという。
また、IoTやクルマとのインターフェイスとしても利用を想定している。「トヨタスマートセンター」をハブに、自宅のHeMSサーバ、車のDCM(専用通信機)からデータを収集した「T-Connectサーバ」と連携することで、自宅の様子や車の状態をコミュニケーションを使って把握することができる。
トヨタ自動車専務役員の吉田守孝氏は、「生活者を中心に考えると、今後の社会課題であるコミュニケーションストレスと、それに対応する社会意義が見えてきた」と、KIROBO mini開発の背景を説明。「今はまだ生まれたての状態」としつつ、クルマ、家、社会のドメインをつなぐ役割として成長させたいと述べた。
会話機能は、KIROBO miniをスマートフォンアプリ(月額300円程度)とBluetooth接続することで実現する。簡単な受け答えはスマートフォン側で処理し、複雑な会話の場合はクラウドを仲介することで、会話のタイムラグを抑える。音声認識サーバやコミュニケーションサーバを含めたシステム全体をトヨタでは「トヨタハートシステム」と呼んでいる。
目の部分にはカメラを内蔵し、顔認識に加え表情認識機能を搭載。こちらから声かけをしなくとも、KIROBO MINIが表情を読み取って、ユーザーの感情に合わせて話しかけてくれる。個人を判定することはできないものの、音声認識でユーザーの名前を登録することで、愛称で呼ぶこともできる。
製造はVAIOが担当する。同社には、ソニーの「AIBO」を製造していた安曇野工場があり、高密度設計や実装技術を生かしたロボットの製造・メンテナンスノウハウを活用する。連続コミュニケーション時間は2時間半。充電時間は約3時間。KIROBO mini背面の端子から給電する。
KIROBO miniは、2015年の東京モーターショーでプロトタイプが発表されており、東京大学、ロボ・ガレージ、トヨタ、電通が中心となって開発したコミュニケーションロボット「KIROBO」がベースとなっている。KIROBO miniでは、ロボ・ガレージはデザイン監修で参加しており、開発自体はトヨタで実施された。
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