ソフトバンクは9月8日、20Gバイトで月額6000円の新料金プラン「ギガモンスター」を発表した。9月13日から順次受付を開始する。また、「iPhone 7/7 Plus」の予約購入者向けには、9月9日から同プランの先行受付を開始する。
ソフトバンク専務取締役の今井康之氏によれば、フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行や、3GからLTEへの通信高速化、さらに動画やゲームなどコンテンツのリッチ化により、同社のモバイルデータ通信量はこの10年間で2300倍に急増しているという。
また、ユーザーの93%が5Gバイト以下のプランを契約しているが、通信制限を避けるために、データ通信量を気にしながらスマートフォンを利用している人も少なくないとのこと。こうした状況がある中、今後はVRコンテンツやライブ中継、4K/8K映像の増加などにより、さらに大規模なトラフィックが発生することが予想される。
そこで、新たに発表されたのが月額6000円で20Gバイトのデータ通信を利用できるギガモンスターだ。同社が現在提供している5Gバイトのデータ定額パック・標準(5)は月額5000円だが、これに1000円を足すだけで20Gバイトに拡大できる。さらに、30Gバイトで月額8000円のプランも提供する。NTTドコモやauでは20Gバイトのデータ通信を利用する場合、1万6000円の料金がかかるため、1万円ほど低価格に利用できるとアピールした。
なお、ギガモンスターに契約すると、テザリングオプションの月額料金は1000円かかる。データくりこしは毎月5Gバイトまで翌月に繰り越せるとのこと。また、データシェアプラスの親回線として加入できるが、家族データシェア、法人データシェアの親回線としては加入できないという。
では、なぜ同社はギガモンスターを実現できたのか。ソフトバンク技術統括 モバイル技術本部 ネットワーク企画統括部 統括部長の北原秀文氏によれば、同社は来るべき大トラフィック時代を予測して技術革新をする「5G Project」を進めてきたという。
同プロジェクトでは「大容量」「同時接続」「高速通信」「低遅延」の4つの技術を研究しており、今回その第1弾として発表されたのが、基地局のネットワーク容量を拡大する5G技術「Massive MIMO(マッシブ マイモ)」だ。同社によればこの技術を導入した携帯キャリアはソフトバンクが世界初だという。
携帯キャリアの基地局は年々増加しており、特に都市部では10m間隔で基地局が設置されているため、これ以上増設してしまうと基地局間で干渉を起こす危険性があると北原氏は説明する。そこで、Massive MIMOを活用することで、それぞれの基地局のネットワーク容量のキャパシティを増やし、増大するトラフィックに備えたい考えだ。
Massive MIMOの特徴は圧倒的なアンテナ数の多さだ。従来は1つの基地局につき、FD-LTEアンテナが2本、またはTD-LTEアンテナが4本(または8本)使われていたが、Massive MIMOでは最大128本のアンテナを使用するため、最大10倍のネットワーク容量を確保。さらに、1人ひとりに専用の電波を割り当てることで、混雑しがちな駅や繁華街でも快適なモバイル通信を実現するという。
同社が実施した実証実験によると、浅草、新橋、飯田橋、新宿の都内4カ所の実効速度で、Massive MIMOを使用した場合としない場合では、平均して6.7倍ほど速度に違いが見られたという。また、10秒間で100人が同時に1Mバイトのファイルをダウンロードする実験をしたところ、ソフトバンクの端末は100人が成功したが、NTTドコモは49人、KDDIは34人と留まったと説明した。
Massive MIMOは、iPhone 7/7 Plusが発売される9月16日から、全国43都市100局で提供を開始する。iPhone 7を含む、SoftBank 4G全端末に対応するという。
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