生徒は"場"がないと勉強しない--代ゼミが学習SNS「Studyplus」を採用

 スタディプラスは4月11日、同社が提供する学習管理SNS「Studyplus」において、教育事業者向けパッケージ「Studyplus for School」の提供を開始したと発表した。サービスの第1弾として、学校法人高宮学園が運営する予備校「代々木ゼミナール(以下、代ゼミ)」と提携する。

スタディプラス株式会社代表取締役の廣瀬高志氏(左)、学校法人高宮学園代々木ゼミナール副理事長の髙宮敏郎氏(右)
スタディプラス株式会社代表取締役の廣瀬高志氏(左)、学校法人高宮学園代々木ゼミナール副理事長の髙宮敏郎氏(右)

 Studyplusは、2012年の3月にローンチされた、160万人の登録ユーザーを抱える学習管理SNS。日々の勉強時間や達成度を記録することで、勉強を可視化できる。同じ参考書を使用しているユーザー同士でつながることができるコミュニティ機能も備える。勉強する仲間を見つけ、日々の勉強のログを仲間と共有することで、勉強の習慣化を支援する。

 これまでStyudyplusは、BtoC向けのサービスとして、大学受験を迎えた高校3年生などを中心に利用されてきた。今回発表されたStudyplus for Schoolは、Studyplusによって取得できる勉強の進捗度合いや蓄積された勉強のログを、教育事業者が生徒のサポートや分析などに活用できる。予備校や英会話などの各種スクール、教育機関などでの利用を想定している。

 通常のStudyplusと異なる点として、予備校や教育機関で使用しているオリジナルのテキストが登録されており、勉強の記録のほかコミュニティ機能が利用可能となる。生徒へのサポートとして、チューターがメッセージを送ることもできる。ダッシュボードは、コース別や講師別での勉強の進捗具合を可視化でき、テストの結果や取得した勉強ログと照らし合わせながら、個々の生徒にあった勉強プランを構築可能だ。


「Studyplus for School」で教育機関向けに提供されるダッシュボード

 代々木ゼミナールとの提携に至った背景や教育とITの可能性について、スタディプラス代表取締役の廣瀬高志氏と、学校法人高宮学園代々木ゼミナール副理事長の髙宮敏郎氏に聞いた。

--今回の提携に至った背景を教えてください。

廣瀬氏 もともとStudyplusは、学習者が抱える課題である「学習の継続」の解決を目的として作ったサービスです。勉強の記録をつけてグラフとして可視化し、勉強仲間を作ってお互いに励ましあいながら勉強の習慣化を目指すサービスとして提供しています。

 教育機関では、テストの結果や大学に受かったという最終的な結果はわかる一方で、学習のプロセス、日々どれだけ勉強しているかなどの把握が難しいという課題がありました。Studyplus for Schoolの提供により、勉強の記録をつけている生徒のログから、勉強の進捗具合の把握と、勉強の仕方などサポートを提供することができます。

勉強の進捗状況などはグラフで可視化される 勉強の進捗状況などはグラフで可視化される
※クリックすると拡大画像が見られます

髙宮氏 代ゼミは、1957年に創業し今年で60周年を迎えます。創業当時は、漢字の名前の予備校さんが多い中「代々木ゼミナール」という名前も斬新でしたし、大学の授業みたいに先生が一人ずつ授業を持っていて、アラカルトで選べることが斬新でした。1989年に衛星を使った配信授業をスタートし、東京の授業を全国で受けられるようにするなど、早期からITを導入してきました。

 ただし、映像授業は一方通行ですし、ITで実現する双方向性、蓄積されたデータなどもうまく活用できていませんでした。生徒一人ひとりにあわせて、授業だけでなく勉強の仕方の指導も求められる時代になり、そこを補完するとなった際にスタディプラスが非常に良いなと、今回採用させていただきました。

廣瀬氏 代々木ゼミナールには、我々の方からご提案させていただきました。代ゼミは、髙宮副理事長を中心に強いイニシアチブをもって「IT×教育」、リアルの教育との融合を非常に強力に推進されているからです。我々もリアルの場との連携を強化していく中での提携となりました。

髙宮氏 2015年夏あたりからエドテック(ITを利用した教育サービスを提供する企業)の方からお話を聞く機会が増え、現場が使いたいかどうかの観点で話を受けておりました。最初は自分の学習時間を記録して共有する子たちのマインドがわからなかったんですが、現場がスタディプラスを使ってみたいとのことで採用した面もあります。

--Studyplus for Schoolの導入でどのようなことが可能になるのでしょうか。

髙宮氏 生徒さん一人ひとりがどのように勉強しているか把握できますので、何かの試験の結果を見た時に、自習のデータと突き合わせて、「ここをもう少し重点的にやれば良かったね」といった指導が可能になります。データが蓄積されてくれば「東大に受かった先輩たちはこの時期にこういう勉強をしていた」といったことが共有でき、よりよい指導が可能になると考えています。

廣瀬氏 代々木ゼミナールさんで使用しているテキストがStudyplusに登録できるようになりました。今までは、独自教材としてユーザー自身で写真を撮って登録することはできましたが、同じ教材を使っている人同士でつながることができませんでした。今回の提携によりコミュニティ機能が活用でき、他の生徒さんの勉強スタイルなども見られるようになります。また、代ゼミのチューターから生徒にメッセージを送ることができ、勉強面でのサポートもカバーします。

--すべての生徒が利用できるのでしょうか。また、事前に試験提供などをしましたか。

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