人間と人工知能(AI)の間で激しい戦いが繰り広げられた今回の囲碁対局だったが、結局勝利したのは人工知能だった。
Googleの人工知能プログラム「AlphaGo」は韓国で現地時間3月15日、世界最強棋士の1人であるLee Se-dol氏との最終戦となった第5局を制した。AlphaGoは、今回の5局勝負を4勝1敗で勝ち越し、コンピュータ知能の飛躍的進歩を世界に知らしめることとなった。
ただし、コンピュータが完璧だったとはいえない。第4局に敗れたAlphaGoにとって第5局も苦しい展開となったが、最終的にはLee氏が280手目で投了し、再び勝利を手にすることとなった。
解説を務めたMichael Redmond氏は、「どの時点でAlphaGoが優勢または劣勢だったかを指摘するのは難しく、全体を通して互角の戦いだった」と述べた。「AlphaGoが盤中央に打った48手目は、第4局に似たミスのように見えた。それ以降、AlphaGoは盤中央を非常にうまく攻め、戦いは長く、非常に厳しい終盤へともつれこんだ」(Redmond氏)
GoogleのDeepMindチームが開発したAlphaGoは、ニューラルネットワークなどの高度な機械学習技術を活用して、盤位置を評価し、次の手を決定する。
長年にわたり、人工知能はトップレベルの囲碁棋士に勝てないと思っていた多くの人々にとって、AlphaGoの勝利は驚きだった。しかし、Facebookによる画像認識といった日常的な技術での利用を含め、AI関連の現在の取り組みのすべてにおいて、実際の問題に対する人間の適応、意思決定、解決能力と比べると、まだかなり制約が残る状態にある。
勝利したAlphaGoが獲得した100万ドルの賞金は、Google DeepMindによって国連児童基金(UNICEF)や科学、技術、工学、数学(STEM)関連の慈善団体、そして各種囲碁協会に寄付される予定だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」