9月20日に発売されることが決まったiPhoneの次期モデル「iPhone 5s」と「iPhone 5c」。従来のソフトバンクモバイルとKDDIに加えて、NTTドコモも新たに取り扱うことが発表されたことから、今まさに契約先の通信キャリアで悩んでいる人も多いことだろう。
日本で販売されるiPhone 5sとiPhone 5cは、ドコモとKDDIの800MHz帯、いわゆる“プラチナバンド”に対応しており、従来よりも広範囲のエリアでLTEサービスを利用できるようになる。KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、9月2日に開催されたネットワーク戦略に関する説明会で、3キャリアの中では同社が最も800MHz帯の基地局を建設していると語り「LTEのエリア競争は、KDDIが断トツでこの秋以降やっていけるのではないか」と自信をみせていた。
この一方で、窮地に立たされるかもしれないと言われているのがソフトバンクだ。同社は2012年にプラチナバンドである900MHz帯を割り当てられており、日本で発売されるiPhone 5s/5cも、900MHz帯に対応している。しかし、この900MHz帯のLTEサービスが利用できるようになるのは2014年夏になる予定で、それまでは既存の2.1GHz帯とイー・アクセスの1.7GHz帯を使ってLTEサービスを提供することになる。そのため、当初はLTEサービス提供エリアでドコモとKDDIに遅れをとってしまう可能性がある。
また、アップルの公式サイトの仕様を見ると、ソフトバンクが推し進めてきたTD-LTE互換の通信方式である「AXGP」にiPhone 5sとiPhone 5cが対応しておらず、これも同社にとって痛手となりそうだ。ソフトバンクではAXGP方式を採用した下り最大110Mbpsの高速通信サービス「SoftBank 4G」を2012年2月から提供しており、AXGPの基地局数も2013年8月末時点で約4万局を超えている。この基地局をiPhone 5sとiPhone 5cでは活用できない可能性が高いのだ。
このためTwitterをはじめネット上では早くも「ソフトバンクの一人負けか」といった厳しい声もあがっている。こうした点について、ソフトバンクモバイル広報は「iPhoneに関してはまだコメントできない。これから料金のお話なども含めてできると思うので、もう少しお待ちいただきたい」としている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」