サンフランシスコ発--雑誌風のレイアウトツールをウェブパブリッシングにもたらそうとしているAdobe Systemsは米国時間5月9日夜、同社の提案するフォーマッティングテクノロジをウェブ開発者がテストできるよう、特別に設計されたブラウザのプロトタイプをリリースした。
「CSS Regions」と呼ばれるこのテクノロジを利用すると、プログラマーはマルチカラムレイアウトを作成したり、テキストを多角形型に配置したり、テキスト表示エリアの中心にオブジェクトを配置したりすることができる。そうしたテクノロジは印刷出版の世界では何年も前から存在しているが、一般的にウェブからは欠落していた。雑誌や新聞がデジタルパブリッシング、とりわけAppleの「iPad」のようなタブレット上でのデジタルパブリッシングへ移行する中で、そうしたテクノロジの不在はますます顕著になってきている。
このフォーマッティング機能が注目に値するのはそれが動的なテクノロジだからだ、とAdobeで「Flash」ランタイムのエンジニアリングディレクターを務めるArno Gourdol氏は述べた。このテクノロジでは、ユーザーがブラウザウィンドウのサイズを変更したり、タブレットの持ち方を縦方向から横方向に変えたりすると、レイアウトが自動的に調整される。
Gourdol氏は9日夜のインタビューの中で、「CSS Regionsで構築できるウェブページの品質は、従来のものよりはるかに優れている。われわれは、設計者が『InDesign』(印刷出版でよく使用されるAdobeのレイアウトソフトウェア)を使ってボタンを押すと、HTMLが出力されるようになることを目指している」と述べた。
AdobeのCSS RegionsテクノロジはAdobe Labsからダウンロードできる。初期バージョンに対するフィードバックを踏まえて、Adobeは実際にCSS Regionsを2つに分割し、「Flexbox」や「Grid」といったほかのCSS開発と統合しやすくした、とGourdol氏は述べている。2つめのパーツは、定義したエリアの周りのテキストフローを定義する「CSS Exclusions」だ。
同テクノロジが注目に値する理由はもう1つある。それは、開発元がAdobeだということだ。
Adobeは長い間、「Flash Player」テクノロジの使用を推奨してきた。プログラマーは何年も前から同テクノロジを使って、ウェブページの内容を記述するHTMLやフォーマッティング用のCSSといったウェブ標準では実現できないコンテンツを作成している。同社はFlashの競争力維持にも真摯に取り組んでいる。現在の焦点はモバイルデバイスのサポートやハードウェアアクセラレーション、3Dグラフィックス向けの「Molehill」インターフェースなどだ。しかし、同社はウェブパブリッシングに関しても本気であることを世界に訴えようとしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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