Firefox用プラグイン「MafiaaFire Redirector」が違法だという判断を下した裁判官はまだいない。しかしその事実も、同プラグインをウェブから排除しようとする米国土安全保障省(DHS)の試みを思いとどまらせるには至らなかった。
Mozilla Foundationは、同省からMafiaaFireの削除要請があった、と語っている。MafiaaFireは、ドメイン名が米国政府に差し押さえられた場合に「自動的に正しい代替サイトにリダイレクトする」ためのユーティリティだという。
Mozillaのゼネラルカウンセルを務めるHarvey Anderson氏は米国時間5月6日に米CNETの取材に応え、米国土安全保障省から電話で要請を受けたと述べた。Anderson氏は文書で返答し、4月19日付けの電子メールで質問状を送付した。その中には、「Mozillaに同アドオンを利用できなくする法的義務があるのか」という重要な項目も含まれていた。
Anderson氏によると、米国土安全保障省からの返答はなく、同プラグインは削除されていないという。
米国土安全保障省の広報担当者は米CNETに対し5月6日午後、「ICEのHomeland Security Investigationsは、知的財産盗用に対する法執行に関連したインターネット仲介者とのやりとりについて公にコメントしない」と述べた。ICEとは入国管理税関取締局を指している。
同省がMafiaaFireを嫌う理由は明らかで、政府によるドメイン名差し押さえの効果が薄れるからだ。米国企業の著作権を侵害している疑いがあるとして差し押さえられているドメインには、FirstRow.net、Atdhe.net、Torrent-Finder.comなどがある。
ドメイン名の差し押さえをくぐり抜ける方策の1つは、単に新しい名前、できれば米国土安全保障省や米国の司法機関が容易に手を出せないトップレベルドメインに移行することだ。人気のあったスポーツ動画ストリーミングサイトAtdhe.netは、そのドメインが使えなくなった後、この対策をとった。新しいURLはAtdhenet.tvとなっている(念のため、Atdhe.meも挙げておく)。
MafiaaFireを使うと、Firefoxが自動的に代替ウェブサイトに転送するため、このプロセスがいくらか簡単になる。全米レコード協会(RIAA)と全米映画協会(MPAA)が一体としてMusic and Film Industry Association of America(MAFIAA)と呼ばれることから、MafiaaFireという名前には両協会と「強権的なICE」に対する抗議の意味が込められている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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