「Adobe Reader 9」と「Adobe Acrobat 9」に重大な脆弱性が見つかり、これを突く攻撃が広がっている。
この重大な脆弱性は両ソフトウェアの旧バージョンにも存在し、悪用されるとアプリケーションがクラッシュして、攻撃者にコンピュータを乗っ取られるおそれがあると、Adobe Systemsは米国時間2月19日に警告を出した。
複数の報告により、すでに攻撃者がこの脆弱性を突く手法を開発し、実際に攻撃を仕掛けていることも明らかになったと、同社は述べている。
Adobeはまだ、この脆弱性に対応するアップデートを開発していないが、3月11日までにはAdobe Reader 9およびAdobe Acrobat 9用の修正パッチを準備する見込みだと述べた。同社はその後、旧バージョンのAdobe Reader 7およびAdobe Acrobat 7まで遡ってアップデートを行う予定だ。
Adobeはユーザーに対し、それまではウイルス定義ファイルをアップデートして、出所の不明なドキュメントを開く際には注意するよう推奨している。
セキュリティ対策企業のMcAfeeはブログの中で、現在のところ攻撃の対象は限られているようだが、情報が明らかになるにつれて新たな変種が広まるだろうと述べた。
McAfeeのブログによれば、Adobe Reader 8およびAdobe Reader 9に存在する脆弱性を突く悪意あるPDFファイルは、2009年初めに現れ始めたという。攻撃者はReaderにあるバグを利用してメモリを上書きし、コードを実行する権限を掌握できる。攻撃者はその後、被害者のコンピュータにトロイの木馬をインストールしてお決まりのバックドアを仕掛け、感染したシステムを遠隔から制御したり監視したりできるようになる。
一方、Symantecは、この攻撃の対象がごく少数の政府機関と大企業に限られているようだと報告している。Symantec Security Responseのディレクターを務めるKevin Haley氏によると、これらの組織の中でも、標的になっているのはごく数人だという。
Haley氏は「われわれは、攻撃がごく少数の場所でしか行われていないことを確認しており、そのことから、これが対象を限定した攻撃であり、広範囲にわたる攻撃を試みるものではないことが分かる」と述べ、2月12日に攻撃を確認して以来、攻撃を受けた人は100人に満たないと説明した。
だが同氏は、他の攻撃者がこのAdobe製品の脆弱性を悪用することを試み、Symantecが「Trojan.Pidief.E.」と名づけたマルウェアとは別の攻撃が広がる可能性についても指摘した。
SymantecはTrojan.Pidief.E.に関するブログの中で、Adobe ReaderのJavaScript機能を無効にすることを検討するようユーザーにアドバイスしており、別の問題に関するブログでその手順を説明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」