トレンドマイクロは5月22日、日本国内専門のウイルス解析&サポートセンター「リージョナルトレンドラボ」(RTL)を新宿本社内に設立し、本格稼動を開始した。
トレンドマイクロではこれまで、ウイルスを検出するパターンファイルをフィリピンのトレンドラボにおいて24時間365日体制で集中的に作成していた。しかし、以前のように世界的な流行種のウイルスへの対応に加え、地域での対応を強化が必要となったことから、日本国内専用のラボを設立した。
RTLでは、メール用、ウェブ用、プロキシ用、ボット用、PtoP用など複数種類のハニーポットシステムを用意し、日本で発生している不正プログラム(マルウェア)のサンプルを能動的に収集する。攻撃手法を統計的に把握し、グローバルと日本の脅威を比較分析し、迅速な解決策の提供や新しい攻撃の調査に利用する。
また、収集したマルウェアを解析し、検出するパターンファイルの作成を行う。さらに、特定の不正プログラムの専用駆除ツールや、日本向けに使用方法を簡素化したシステムクリーナーなど、状況に応じ最適な手法で柔軟なソリューションを提供していく。
なお、RTL設立による今後の新しいパートナーサービス展開の基盤として「Trend Micro Monitoring Operation Center」をRTL施設内に設置する。ここでは、法人顧客向けの監視サービスを2007年第4四半期から提供開始することを予定している。
同社日本代表の大三川彰彦氏は、「2006年はウイルスの世界的アウトブレイク(爆発的感染)はゼロであるにもかかわらず、感染報告は前年と比べて倍増している」と、近年のウイルスを中心とした脅威の傾向が変化していることを明らかにしている。
その具体的な傾向としては、地域性の高い攻撃が見られるようになっていることが挙げられる。2006年3月には、日本公正貿易センターからの配信を装ったウイルスメールが出回り、2006年8月には、中央省庁職員に、添付文書を開くと情報が流出するというスパイメールが送付されている。
こうした傾向に対して設立されたのがRTLだ。RTLが果たすべき役割としては「日本地域での能動的なマルウェア収集、日本専門の“バンテージパターン”の作成」(大三川氏)を挙げられる。
ここで言うバンテージパターンとは、日本専門の問題となる単一のウイルスを検出するためのパターンファイルであり、同社と個別に契約しているユーザー企業にいち早く配信されることになる。なお、RTLで作成されたバンテージパターンは、フィリピンのトレンドラボに送付され「最大約1日程度のタイムラグを経て」(RTLでシニアアンチスレットアナリストを務める岡本勝之氏)、“オフィシャルパターン”として、一般のユーザーに配信されることになる。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス