仮に検索エンジンスパムの解決法が存在したとしても、それを公開する人はいない。米国時間3月30日、マサチューセッツ工科大学(MIT)主催のスパムに関するカンファレンスMIT Spam Conference 2007で、専門家らはそのように語った。
同カンファレンスでこの問題について議論した講演者や聴衆からは、Googleの広告サービスAdSenseのような検索広告サービスを使って金儲けができる間は何も変わらない、との声が聞かれた。一方で、有効な解決法を思い付いた検索エンジンは、その方法を競合他社の手に渡したくないと考えるだろう。
「自社が検索エンジンスパムを解決できないでいる間に、他の会社が解決したとしたら、自社の検索エンジンはその時点で終わりだ」と語るのは、毎年開催されるMIT Spam Conferenceの議長を務めるBill Yerazunis氏だ。
このような状況から、スパム研究者らは、検索エンジンスパムについて口を閉ざしているようだ。
「ブログスパムや検索エンジンスパムに関する重要な講演をお聞きいただいた。これからさらに面白くなるが、ここで1つ問題がある。わたしは、(検索エンジンスパムの解決法を)募集したが、わずかな論文しか寄せられていない。その理由は、各企業が、その解決法が利益になると考えているからだ」(Yerazunis氏)
「このように考えてみて欲しい。仮にあなたがGoogleだとして、検索エンジンスパムの解決方法を思い付いたとしたら、それを発表するだろうか。今や検索業界は大手3社の三つ巴戦だ。仮にMicrosoftがそれを解決したとしたら、同社はGoogleをたたきつぶすだろう。仮にYahooが解決すれば、同社はMicrosoftをたたきつぶすだろう。検索エンジンスパムの解決方法には大変な価値がある」(同氏)
その価値の高さから、Yerazunis氏は、学者たちもその方法を秘匿しているのではないかと疑っている。仮にある学者が民間企業よりも早くその解決法を発見したら、その学者は間違いなく、最も高く買ってくれる企業に売るとYerazunis氏は見ている。
コンサルティング企業Searching for ProfitのAmanda Watlington氏は、同カンファレンスで行った講演の中で、当面は明確な対処法がないため、教育こそが多くのスパムを排除する上で重要だと訴えた。また同氏はその理由として、スパムの大半は本物のブランドや広告主の悪習が原因だからだと説明した。
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