ある新興企業が、自分の個人データがオンライン上で犯罪に関わる取引に利用されていないかを確認するためのサービスを提供開始した。だが、批評家によるとこれがさらに同様の詐欺に利用される危険性があるという。
カリフォルニア州レッドウッドシティを拠点とするTrustedIDが米国時間1月23日に発表したところによると、「StolenID Search」と呼ばれるこのサービスでは、インターネット接続環境さえあれば、インターネットの闇取引に利用される可能性のある200万件ものクレジットカード番号や社会保障番号からなるデータベースを誰でも検索可能であるという。
TrustedIDの最高経営責任者(CEO)であるScott Mitic氏はインタビューに応じ、「ユーザーは自分のクレジットカード番号や社会保障番号が不正に利用されていないかどうか確かめることができる」と述べた。「多くの場合、このサービスがなければ、消費者は問題が生じて手遅れになるまで自分の個人情報が危険にさらされていることを発見する手段がない」(Mitic氏)
StolenID Searchを利用することに抵抗を感じる人も多いだろう。検索を実行するには、データベースで確認したいクレジットカード番号または社会保障番号を入力しなければならない。そのためには2年前に創立されたばかりで、ベンチャーキャピタリストらの投資に支えられた、なりすまし対策サービスでビジネスを構築しようとしているTrustedIDを信頼しなければならない。
Mitic氏は、他の情報を付加しなければクレジットカード番号や社会保障番号だけでは悪用される心配はないと主張する。「名前、住所、有効期限、セキュリティコードがなければ、番号には何の価値もない」と同氏は述べた。「このような場合に限り、社会保障番号をウェブ上のフォームに入力しても大丈夫だということができる」(Mitic氏)
ビジネスとしては正当であり、専門家もこの新しいサービスの価値は認めている。しかし、StolenID Searchの現在のサービス提供方法では、犯罪に悪用される危険性があると専門家らは指摘する。
詐欺を調査するJavelin Strategy & Research社長James Van Dyke氏は、「オンライン世界の闇で取引される個人情報の量は非常に膨大であり、Trusted IDのような企業は、消費者にその事実を知ってもらい、それに対して適切な防止策と検出を実施させるという役割を担うことができる」と述べた。
TrustedIDが信頼でき、そのデータベースが広範囲にわたるものならば、このサービスには価値があるといえると、GartnerのアナリストAvivah Litan氏も同意している。「従来は存在しなかった、消費者がなりすまし関連の詐欺に対処するための重要なツールを提供することになる」と同氏は述べた。
しかし、TrustedIDはデータベースを誰でもアクセス可能とした点で誤りを犯しているとVan Dyke氏とLitan氏は口をそろえる。「データベースへのアクセスを要求する人物を適切に審査することもせずに、情報を無償で誰にでも提供するならば、なりすまし詐欺という深刻な問題をさらに悪化させることになりかねない」とLitan氏は述べた。Van Dyke氏も「犯罪に利用される」可能性があると付け加えている。
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