小規模企業はサイバー犯罪の犠牲者となる可能性があることをもっと認識する必要があると、米政府の元セキュリティアドバイザーHoward Schmidt氏は訴えている。
Schmidt氏は、現地時間11月20日にロンドンの英上院で開催されたITセキュリティイベントにおける講演のなかで、全ての企業が、セキュリティ機器を適切に設定していないか、あるいは適切なセキュリティ上の予防策を講じていないためにリスクにさらされていると述べた。
「中小企業は犠牲になる可能性があることを認識していない。彼らにとって年間40ポンド(約8900円)をアンチウイルスソフトに費やすことが最優先事項ではない」と、同氏はマネージドサービス専門事業者であるClaranet開催の同イベントで述べた。「中小企業は単に自分たちが小規模であるからといって、攻撃対象とならないわけではないことに気付く必要がある。悪い奴は金になりさえすれば、相手が誰であれ狙ってくるのだ」(Schmidt氏)
Schmidt氏によると、小規模事業と消費者の90%がアンチウイルスソフトをインストールしているが、10%は疑わしい脅威に合わせて開発されるシグネチャを全くアップデートしていないという。従業員数に限りある小規模企業は、単純にサイバーセキュリティの問題に打ち込む時間がないのだと同氏は述べている。
組織は悪質なソフトウェアに注意するほか、重要なデータが社外に漏れないように気をつけなくてはならない。通常これはヒューマンエラーによって引き起こされるという。ファイル共有ネットワークを利用している従業員は、セキュリティ上の影響を知らないケースがあると、Schmidt氏は言う。
「PtoPネットワークを利用する人は自分のドライブの全コンテンツが共有されていることを認識していない場合が多い。米国土安全保障省はこれに関する脆弱性評価文書をオンラインで公開している」(Schmidt氏)
しかしSchmidt氏は、中小規模企業がいずれは、サードパーティから提供されるセキュリティのマネージドサービスを利用し始め、低コストなアプリケーションレベルのセキュリティや、ハードウェアの管理を委託するようになるだろうと述べている。
「いずれ、低コストなマネージドセキュリティサービスにより、サービスとしてのソフトウェア(software as a service:SaaS)のモデルに移行するであろう」と同氏は言う。
とはいえ、アプリケーションソフトウェアにはセキュリティ機能が最初から組み込まれているべきであると、Schmidt氏は言う。同氏はさらに、ソフトウェアが自動的にユーザーシステムのさまざまな設定を行い、セキュリティの侵害を検出することができるようになる時代を待ち望んでいると付け加えた。
「エンドユーザーが自分で自分たちの身を守らなければならない状況はおかしいと思う。最新の車に安全措置がどんどん組み込まれていくように、(ソフトウェアには)はじめからセキュリティ機能が組み込まれているべきだ。ユーザーは、自動的に問題を修復し、各種の設定を行ってくれるソフトウェアを望んでいる」とSchmidt氏は述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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