シマンテックは3月15日、2005年7月1日から12月31日までのインターネット上における脅威データの動向をまとめた「インターネットセキュリティ脅威レポート Vol.9」に関する説明会を開催した。その中で、同社コンサルティングサービス部 ディレクターの山内正氏は、「2002年ごろから、ぜい弱性情報を売買するブラックマーケットが形成されつつある」と述べた。
ぜい弱性情報の売買とは、ぜい弱性を見つけた者が、情報をすぐにオープンにせず、第三者やベンダーなどに売るといった行為だ。どのような方法で取り引きが行われているのか詳細はわからないとしながらも、「このような売買が確実に増えている」と山内氏は言う。
ぜい弱性情報の売買について警告するシマンテックの山内氏 |
同社の調査によると、今回の調査期間中に売買されたぜい弱性情報は54種で、前回の調査時の68種より減少したものの、「取引金額などの市場規模は確実に大きくなっている」としている。
こうした市場取引が行われることで、「ぜい弱性が発覚しても、情報がオープンになるまで時間がかかるようになった」と山内氏は指摘する。今回のレポートで、ぜい弱性の発覚から悪用コードが開発されるまでの平均時間が、前回のレポートより約1日長い6.8日という結果が出ているが、これについても「ぜい弱性情報が公になるまでに時間がかかるようになったためではないか」と同氏は分析している。
もちろんシマンテックでは、ぜい弱性を見つけた場合はすぐにオープンにしているが、山内氏は「このような情報の裏取引は今後も増加するだろう。情報の公開が遅れることで、攻撃が先行するケースが増えてしまう」と述べ、この動きへの対策が必要だとした。
金銭目的の攻撃が増加
山内氏はまた、現在の脅威環境について、「オンライン詐欺などのサイバー犯罪が第一の脅威として広く意識されるようになった」としている。シマンテックでは、以前よりオンライン詐欺と金銭目的の攻撃の増加を予測していたが、それを証明するように、2005年下半期に最も多くねらわれた業界は金融サービス業界という結果が出た。
フィッシングメールについても、ブロックした数が前期の10億4000万通から44%増の14億5000万通を数えた。1日あたりのフィッシングメールの数は、前期の570万通から後期は792万通となり、ピーク時には1日1700万件に達することもあった。山内氏は、「全体のメールの数から見ると1%弱ではあるが、119通のメールのうち1通がフィッシングメールという計算になる。これは無視できない数字だ」と述べた。
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