携帯電話には動画やゲーム、写真、音楽を取り入れることができるようになった。さて、この次に来るのはウイルス対策ソフトだろうか。
ウイルスを撃退するプログラムは、Windows PCにとって必要悪となっている。ウイルス対策業界は今度は携帯電話に注目し始めている。しかし携帯電話事業者らは、携帯端末がセキュリティ対策に適しているかどうかに確信を持てず、このことには難色を示している。
米国の主要携帯電話事業者のひとつであるVerizon Wirelessは、顧客の携帯電話にウイルス対策ソフトを搭載する必要性を感じていない。「現時点では、個人顧客にとっては全く必要ないものである」と同社の広報担当Jeffrey Nelsonは述べている。
しかしセキュリティソフトウェアのメーカー各社は、巨大な潜在的市場である携帯端末に製品を搭載させようと躍起になっている。Gartnerによると、2005年には携帯電話とスマートフォンを含めた携帯端末がおよそ8億1200万台販売されたという。これは同時期のPCの販売台数が推定2億1900万台であったのと比較できる。同市場調査会社は、携帯機器の年間出荷台数が2008年には初めて10億台を超えると予想している。
携帯電話に対する脅威は規模が小さいが、この状況が変わりそうであるという点では、セキュリティ専門家やアナリストらも同じ考えである。Gartnerは、2007年末までには広範な攻撃が表面化する可能性があると示唆している。嵐の前の静けさにある今の時期においては、アンチウイルスのメーカーと携帯電話事業者の間では必要とされる防御策について意見が一致しない。解決策が得られないまま、損をするのは携帯電話利用者となるかもしれない。
セキュリティ会社F-Secureのチーフリサーチオフィサーを務めるMikko Hypponenは、先週開催されたRSAカンファレンスの参加者を前に、2004年6月以来、携帯電話を標的にしたウイルスは150種以上発見されており、世界中で何万もの感染が報告されたと伝えている。
この数字を多いとする見方もあるかもしれないが、15万件以上にのぼるPCウイルスの数と比べればたいした数字ではない、とF-Secureの報告書にはある。これまでのところ、携帯電話に感染するウイルスのほとんどは、攻撃が可能であることを示すためだけに作られ、実際にネットワーク上に出現したことはない。「今でも、Windowsでマルウェアの攻撃を受ける可能性のほうが、携帯電話への攻撃を受ける可能性よりもずっと高い」とHypponenは言う。
それでも、一部のウイルス対策ソフトウェアメーカーは携帯電話のリスクについて警告を発している。マルウェア攻撃の対象となり得る高機能携帯電話機を持つユーザーが増えるのを受けて、ここ1〜2年のうちに携帯電話への攻撃件数が変わる可能性があると主張している。
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