「Google Desktop」に新たに搭載された、複数のコンピュータを1度に検索できる機能を使うと、機密性の高いデータが危険にさらされるおそれがあり、またこの機能が米国のデータ保護法に違反する可能性があると、2人のIT管理者が述べている。彼らは、自分の管理するネットワーク内での同ツールの利用を禁止している。
Googleが先週公開した「Google Desktop 3」には、複数のコンピュータ内にあるファイルを検索できるオプションが用意されている。同アプリケーションはこれを実現するため、ファイルのコピーを最大で1カ月間Googleのサーバ上に自動的に保存する。複製されたデータは、そこからユーザーの別のコンピュータに転送されて保存される。このデータは、転送中およびGoogleサーバ上での保管中は暗号化されている。
Electronic Privacy Foundationは、Googleサーバ上へのデータ保存がたとえ一時的なものであっても、召喚状の送付があればGoogleが政府へのデータ提出を余儀なくされる可能性があると警告し、一般ユーザーに対して同ソフトウェアのボイコットを呼びかけた。
クリーブランド州立大学のセキュリティ管理者Michael Holsteinは、たとえ一瞬でもデータが外部サーバ上に保管されることは、学生や医療関連のデータ保護について厳格なガイドラインを示す「Family Educational Rights and Privacy Act(FERPA:家庭教育の権利とプライバシーに関する法律)」や「Health Insurance Portability and Accountability Act(HIPAA:医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)」への準拠が必要な法人にとって容認できるものではない、と述べている。
同氏は米国時間14日、「自分たちのデータが最終的に置かれる場所には慎重を期す必要がある。技術ポリシーの立場からは(Google Desktop 3の)有効な管理方法がないため、学内のコンピュータにはこれをインストールしない、というポリシーを定めることで落ち着いた」と語った。
Holsteinによると、同校では2800人の教職員が利用する目的で5000台のワークステーションが校内に設置されているが、これらのマシンにGoogle Desktop 3がインストールされた場合はその旨を知らせるアラートが管理者に出されるほか、その動作を阻止するような技術的手段を講じたという。
この機能は初期設定状態では無効になっているが、使用禁止であることを知らないユーザーが1人でもこれを有効にすれば元も子もなくなるため、単に無効にするだけでは問題解決にならないと同氏は言う。「ユーザーはこのような機能を便利だと感じて有効にしてしまう」(Holstein)
Johnson Controlsでシステム管理者/ネットワークエンジニアとして働くFaisal SehbaiもHolsteinの考えに同意している。
「自社の知的財産がGoogleに流れてしまう可能性があるというのは、潜在的に大問題だ。われわれは政府関係の契約書を数多く扱っているが、これらの契約書には安全を確保する必要のある機密情報が含まれている」(Sehbai)
その結果、Sehbaiの部署ではGoogle Desktopを禁止し、技術的手段を講じて、約300人の社員がこれを利用することを阻止しているという。
「Googleや同社の製品はおおむね気に入っているが、これは他のものより侵害の度合いが甚だしいように思える。この検索機能は初期設定状態では無効になっているものの、それでも懸念は生じるというのが私の理解だ。あとで後悔するよりも先に安全策を講じておいたほうがいい」(Sehbai)
それに対し、Google関係者は、「まもなく」登場する予定のエンタープライズ版Google Desktopでは、IT管理者が中央から同ソフトウェアを配布したり管理したりすることが可能になり、各種の機能をすべて有効/無効にできると指摘している。加えて、Google Desktopをダウンロードするには管理者権限が必要になることから、ネットワーク管理者がこの機能に懸念をもつ場合は、大規模な管理者権限の付与を控えることで同ツールの使用をコントロールできると、この関係者は付け加えた。
しかし、ユーザー全員に対してソフトウェアのダウンロードを禁じることは実際的ではないと、Holsteinは言う。「ソフトウェアのダウンロードを禁じる(か、あるいはIT管理者の承認を必要とする複雑なプロセスを義務付ける)というやり方は、教育機関ではうまくいかないだろう」(Holstein)
Sehbaiも考えを変えていない。 「Googleがエンタープライズ版を公開した時には、それが必要だと主張するユーザーのために必ずテストする。しかし、Google Desktopはわが社にとって不可欠なアプリケーションではない」(Sehbai)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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