米国時間16日にMicrosoftのWindows 2000が動作するコンピュータを停止させたネットワークワームは、ライバル関係にあるハッカー同士の抗争と関係している可能性があると、セキュリティ専門家が述べている。
ケーブルテレビ局のCNN、ABCネットワーク、そしてThe New York Timesなどをはじめとして、このワームの被害は全米に広がっている。ウイルス対策企業のTrend Microでは、先週末にインターネット上に現れた「Zotob」ワームや、「Rbot」ワームの新たな変種など、さまざまなワームがこの大混乱を引き起こしたとしている。
一部のセキュリティ研究者は、このワームの大発生について、ライバル関係にあるウイルス作者間の「戦争」とつながりがあると主張している。F-Secureの最高調査責任者Mikko Hypponenは「われわれはネット戦争に巻き込まれているようだ」と17日付けの声明のなかで述べている。
「3つのウイルス開発グループが、大変な勢いで新しいワームを次々に作り出しているように思われる。まるで、どのグループが最も多くのマシンに感染できるかを競い合っているかのようだ」(Hypponen)
これらのワームは、いずれもWindows 2000にのプラグ&プレイ機能にあるセキュリティホールを悪用する。Microsoftは先週、このバグの修正パッチを月例パッチリリースの一部として公開した。同社では、この問題を最も深刻なレベルである「緊急」に分類している。
Trend Microのウイルス対策調査グループディレクターJoe Hartmannは16日、「ほぼ2分ごとに新しい亜種が登場してくるようだ。感染しているのがどの亜種なのか特定できない。まだ感染の報告を集めている途中だが、世界中から報告が来ている」と述べた。
Trend Microによると、感染したコンピュータはシャットダウンや再起動を繰り返すという。
Microsoftは現在このワームの大発生に関する報告の調査を進めていると、声明のなかで述べている。同社では、Rbotの亜種である「Worm_Rbot.CEQ」が今回の大発生の引き金になった可能性があるとしている。
Microsoftによると、最新のパッチが適用されたWindows 2000マシンは、これらのワームの影響を受けないという。同社は米国時間16日に、「これまでのところ、Zotobの被害はそれほど広がっていない。ZotobはWindows 2000しか狙わない。Windows XPなどのほかのバージョンのOSが動いているPCや、Windows 2000でもMS05-039アップデートを適用しているマシンは、この攻撃の影響を受けない」とする声明を公表した。
これらのワームは、コンピュータユーザー全般よりも、むしろ個々の組織内で広がっていると、SANS Instituteの主任研究者Johannes Ullrichは述べている。同社ではインターネットセキュリティ関連のトレーニングと調査を提供している。
「これらのワームの影響はインターネット上ではそれほど見られない。しかし、Microsoftが先週公開したパッチが未適応のWindows 2000が使われている企業では、かなりの被害が発生している」(Ullrich)
Symantec Security Responseの製品管理ディレクター、David Coleも「企業内部で影響が出ている」と考えており、たとえば、企業のファイヤーウォールの外側で使用されていたノートPCがいずれかのワームに感染し、それを企業ネットワーク内に持ち込んでしまうケースなどが考えられると説明している。
「いったん社内ネットワークに侵入したワームは、各所で暴れ回り、大きなダメージを与える」(Cole)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」