PCの乗っ取りを試みる、2つ特性を備えた脅威が出現したと、複数のセキュリティ対策企業が米国時間15日に警告を発した。同脅威には、少なくとも3種類の亜種が存在するという。
F-Secureによると、この新種のワーム「Lebreat」は、ネットワークワームとメール大量送信型ワームの特性を併せ持つという。Lebreatは、感染したPCにハッカーが侵入するためのバックドアを仕掛け、大量に電子メールを送信するためのコードをダウンロードするほか、セキュリティ対策大手のSymantecのウェブサイトを標的にしたサービス拒否攻撃(DoS)を試みるとF-Secureは説明する。Lebreatは、他のウイルス対策企業からはBreatleやReatleと呼ばれている。
「このウイルスは、自身を『Breatle AntiVirus v1.0』と称し、ネットワークに存在する脆弱性と電子メールの両方を悪用することにより、拡散を試みる」とF-Secureは述べる。
Lebreatが悪用するネットワーク脆弱性は、Microsoft WindowsのLocal Security Authority Subsystem Service(LSASS)と呼ばれるコンポーネントに存在するものだと、F-Secureは述べる。同社の勧告によると、LSASSの脆弱性は、「Sasser」ワームでも悪用されていたという。Microsoftは2004年、LSASSの脆弱性を修正するためのパッチを公開している。
また、Lebreatはメール大量送信型ワームでもある。そのため、Lebreatは電子メールの添付ファイルとしても感染を広める。
Lebreatは、感染先のPC上で電子メールアドレスを収集し、そのアドレス宛てに自身を送信する。また、インターネットのスキャンを開始し、LSASSの脆弱性を持つPCを探し出そうとする。さらに、感染先のPCにバックドアを仕掛けるほか、システムリストアや自動アップデートをはじめとするWindowsのセキュリティ機能を無効にしようとするとF-Secureは述べる。ただし、Windowsの設定変更は失敗に終わると同社では付け加える。
他のメール送信型ワーム同様に、Lebreatが使う件名、メッセージの本文、添付ファイル名には複数のバリエーションがあるとF-Secureは述べる。例えば、本文には、「Your credit card was charged for $500 USD. For additional information see the attachment.(あなたのクレジットカードで500米ドルの決済が行われました。詳しくは、添付ファイルを参照してください)」といった文章が記載されている。発信者のアドレスには、偽造されたアドレスが使用されている。
F-Secureによると、Lebreatの最初のバージョンが出現した直後に、2種類の亜種が発見されたという。これらの亜種もLebreatとほぼ同様の動きをするという。F-Secureでは、Lebreatを「レベル2」の脅威として分類している。F-Secureのウェブサイトによれば、「レベル2」は、大規模な感染を引き起こしている脅威に与えられる評価レベルだという。
電子メールセキュリティ企業MessageLabsの関係者によると、同社は米国時間15日午前中までに、Lebreatに感染した電子メール5636通を検出し、その送受信をストップしたという。同社では、Lebreatの感染規模を「中程度」と分類している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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