セキュリティの権威、「サイバーテロリズム」という言葉の乱用を批判

Dan Ilett(ZDNet UK)2005年04月27日 21時00分

 米国時間24日に開かれたあるカンファレンスで、インターネットセキュリティの専門家のBruce Schneierが「サイバーテロリズム」という言葉を適切に使用するよう警告を発した。また、各国の政府が支援するハッキング行為については、拡大の可能性は低いと述べた。

 各政府機関は予算を増額するために「サイバーテロリズム」という言葉を乱用している、とSchneierは指摘した。

 著名な作家で、暗号化の専門家でもあるSchneierはロンドンで開催されたInfosecurity Europeカンファレンスで講演した。その中で同氏は、サイバーテロリズムは未だ人間の生活に対する脅威となったことのない神話にすぎないと語った。

 Schneierは、「誰も粉々になるわけではない」と述べ、さらに次のように続けた。「私はサイバーテロリズムなど存在しないと考えている。『テロリズム』という言葉を付ければ、予算を増額してもらえる。仮に1日メールが受信できなくても、恐怖を感じることはない。不便さを感じるだけだ。」

 同氏はさらに、「われわれは、『terror(恐怖)』という言葉を、本当にそれに値する事態だけに使用すべきだ。苛立ちしか覚えないようなことにまで使う必要はない」と付け加えた。

 Schneierによると、世界各国の政府は、専門家のハッカーチームを擁しているとしても、互いに攻撃し合っているわけではないという。「各国政府によるハッキングがそれほど多く行われているとは思わない。全く馬鹿げた話であり、大人はそのようなことはしない。しかし、イスラエル、中国、(米国)といった国々の政府がハッキングを専門に行う軍事組織に資金を投じていることは周知の事実だ」(Schneier)

 Schneierによると、政府の公式サイトの改変は各国政府にとって大した脅威ではないという。「単に子供たちが政治で遊んでいるだけであり、政治的動機に基づく行動とは思えない」(Schneier)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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