IBMのLotus Domino Serverに見つかった欠陥が悪用されると、システムがクラッシュするおそれがあると、あるセキュリティ調査会社が注意を呼びかけている。その一方で、IBMはこの報告に異議を唱えている。
セキュリティ調査会社iDefenseが米国時間6日に発表した勧告によると、メールおよびカレンダーサーバソフトウェアであるLotus Domino Serverのバージョン6.5.1とバージョン6.0.3にDoS(サービス拒否)攻撃につながる脆弱性が発見されたという。
「アクセス権限を持たない攻撃者にリモートからこの脆弱性を突かれると、システムがクラッシュする可能性があり、正規ユーザーが同サーバのサービスを利用できなくなる」とiDefenseは勧告のなかで述べている。「この攻撃は、最小限のリソースを利用するだけで開始できる。さらに、パッチをインストールしていないコンピュータに攻撃を繰り返し、確実にそのシステムを回復不能にすることも可能だ」
この欠陥報告について、IBMは内容を否定している。同社は技術サポート用サイトに公開した情報のなかで、すでにこの問題を徹底的に調査したが、報告された脆弱性の存在は確認できなかったと述べている。
IBMでDominoのセキュリティを担当する開発マネージャのKatherine Emilingは、「われわれは、iDefenseの働きかけをありがたく思っている。われわれは、彼らとともに、この問題に懸命に取り組んできた。しかし、われわれが調査した限りでは、プロセスが停止する現象は見られなかった。見解が分かれる唯一の理由は、ハードウェアの設定の違いにあるのではないかと、考えている」と述べている。
iDefense LabsのディレクターであるMichael Suttonによると、iDefenseは、Lotus Domino Serverの問題について、2月にIBMに通知していたという。そして、両社はこの2〜3カ月間、共同でこの問題に取り組んできたが、最終的に両社は異なる見解に達した。
「われわれはこの問題についてかなり長い間IBMとやり取りしてきたが、やはりIBMは間違っていると思う」とSuttonは述べている。「この脆弱性を再現するのは難しいことではないというのが私の意見だ」(Sutton)
IBMとiDefenseはこれまで、良好な関係を築いていたとSuttonは言う。同氏によると、iDefenseはIBM製品に脆弱性を発見した場合、欠陥の詳細を公表する前にIBMに通知し、それを受けたIBMは、iDefenseと共同で問題を特定しそれを修正するパッチを開発していた。そして、iDefenseが欠陥を公表するまでに、アップデートの公開準備を完了させていたという。
「わわわれは、この脆弱性について異なる意見しか持っていないという結論に達した。そして、われわれがこの情報をどう公開すべきかについて考えている間、IBMはわれわれと協議もせず、この件に関する技術的な勧告を公開した」(Sutton)
iDefenseによると、この脆弱性を含むサーバに、/cgi-bin/を先頭に付けたユニコードの文字列430字を送ることで、リモート攻撃が可能になるという。そして、その結果生じたスタックのオーバーフローでコンピュータ資源が消費されてしまうため、これを悪用したDoS攻撃が可能になるとiDefenseは述べている。
iDefenseではパッチが出るまでの回避策として、ファイアウォールやアクセス制御リストなどを利用して、システムやサービスの利用を制限することを勧めている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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