インターネットを利用した個人情報の盗難ばかりに関心が集まっているが、新たに発表された調査レポートによると、金銭盗難の多くは、いまだにオフラインの世界で起きているという。
Council of Better Business Bureaus(CBBB)とJavelin Strategy & Researchがまとめた調査レポート「2005 Identity Fraud Survey」によると、インターネットで発生した犯罪の平均被害額は551ドルだったのに対し、金融機関から送付される利用明細などの書面を使った犯罪の平均被害額は4543ドルだったという。
この調査は、連邦取引委員会(FTC)が2003年に実施した調査を倣って行われたもの。レポートには、インターネット関連の犯罪は、深刻度、損失額、発生頻度の点から見て、想像されているより軽度だと記載されている。
個人情報を悪用した金銭盗難の2004年における総損失額は526億ドルで、前年とほぼ同じだった。被害者数は930万人で、前年の1010万人と比べて減少している。
CBBBのCEO、Ken Hunterは声明文のなかで、「今回の調査結果には、個人情報の盗難についてこれまでいわれてきた共通認識と矛盾する部分があり、新たな予防策を示唆してくれている。消費者は(この調査結果を参考にして)、自分の個人情報を安全に管理し、この手の詐欺行為から身を守るための対策を講じることができる」と述べている。
調査によると、2004年に発覚した個人情報盗難事件のうち、11.6%がコンピュータを使って行われたものだという。また、このうち半数はスパイウェアを利用したものだった。スパイウェアとは、ユーザーのPCにポップアップ画面を次々に表示したり、コンピュータの動作を密かに監視したりする悪質なソフトウェアのこと。
「この調査結果から、オンラインの個人情報盗難に対する消費者の恐怖心は必要以上に大きいことが分かる。消費者は、より深刻な問題を見落としてしまっている可能性がある」とJavelinの創設者James Van Dykeは声明の中で述べている。「実際、個人情報盗難のほとんどは昔からあるチャネル、つまりインターネットではなく、書面ベースで発生している」(Van Dyke)
レポートには、最新のスパイウェア/ウイルス対策ソフトを利用したり、個人情報の入力を求める不審な電子メールに応じないように注意したりすることで、オンライン上の個人情報を保護できると記載されている。また、パスワード認証のかかったウェブベースのサービスを利用して口座を管理すれば、「個人情報の盗難に使われる可能性の高い書面でのやりとりがなくなるため、消費者は犯罪に巻き込まれる可能性を低減できる」としている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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