オーストラリアの警察当局は「Surveillance Devices Act(監視デバイス法)」の下、容疑者のコンピュータにスパイウェアやトロイの木馬をインストールできるようになった。
オーストラリアの新聞社The Sydney Morning Heraldの報道によると、同法の下で連邦警察と州警察は、最高3年の懲役刑に相当する犯罪を捜査する際にキーロギングやトラッキングソフトウェアを使用することが可能になるという。
ITサービス企業Dimension DataのナショナルセキュリティマネージャーNeil Campbellによると、新しい技術の利用に関する決まりがなく、現場の混乱を招いていたため、今回の法改正を行う必要があったという。Campbellは以前6年間ほど、オーストラリア連邦警察のコンピュータ犯罪チームと一緒に仕事をした経験がある。
「まだ相手に届いてないショートメッセージ(SMS)を警察が傍受したとしよう。すると、これは通信傍受なのか、それとも通常の捜査なのかという問題が発生する。捜査令状をとるのは比較的簡単だ。捜査することによって犯罪に関する何らかの証拠が得られるという、正当な根拠を示せばよい。しかし、通信傍受の令状をとるのは難しい」と、Campbellは述べた。
しかし、Campbellは、容疑者のコンピュータにスパイウェアをインストールするのは簡単ではないと指摘する。特に容疑者がITセキュリティに詳しい場合は、なおさらだ。
「用心深いうえにITに詳しい容疑者の活動を、スパイウェアで監視するのはとても難しいだろう。どうやってスパイウェアをパソコンにインストールするのか」と、Campbellは尋ねた。
ウイルス対策ソフトメーカーTrend MicroのシニアシステムエンジニアのAdam Bivianoは、セキュリティツールを使って警察の監視技術をすり抜けるケースも多いと述べる。例えば、犯罪者たちは暗号技術を使うことによって、通信を警察から傍受されにくくしているという。
「技術に詳しい犯罪者たちはこの種の動きにとても敏感だ。警察がどういう技術を用いているかを知れば、なおさら警戒感を強める」と、Bivianoは述べた。「プロセスリストを見れば、何がPCのメモリを使っているのか、どのアプリケーションが起動しているかがわかる。コンピュータについて熟知していれば、スパイウェアプログラムなど簡単に検知してしまうだろう」(Biviano)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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