スパム洪水の背後にロシアと中国の影

 ロシアに拠点を置く複数の犯罪組織が、インターネット上を流れるスパムメールの量の増加をあおっている、とアンチスパムを唱えるある有力団体が発表した。

 Spamhaus ProjectのディレクターSteve Linfordは8日(現地時間)、ロシアの犯罪組織が、未承諾の広告メッセージをユーザーに送りつけるための踏み台に利用できるPCの欠陥情報を米国のスパマーに提供したり、オープンプロキシを作るウイルスを作成したりしている、と警告した。

 ロンドンで開催されているOpenwave Messaging Anti-AbuseカンファレンスでLinfordは、「スパム関連の犯罪行為はこれまでにないレベルに達している。ロシアの犯罪組織は、ウイルスとプロキシを作り出し、それを米国のスパマーへ売っている」と語った。

 Linfordによると、ロシアには、これらの犯罪組織を取り締まるアンチスパムやサイバー犯罪に関する法律がないという。かといって、彼らは他国で施行されている法律に従うつもりもない、というわけだ。

 また、同氏はカンファレンスの席で、スパムの約70%が中国から発信されていると語った。アメリカのスパム関連組織が中国のインターネットサービスプロバイダ(ISP)にサーバをホスティングしているのだという。多くの場合、スパマーはファイアウォールを設定しているため、ISPは何がホスティングされているのか知ることができない。

 「何を訴えられているのか理解できない中国のISPを相手に、われわれは戦い続けている」と、Linfordは述べた。同氏が率いる組織は、スパマーがジャンクメールをウェブへ送信するのを阻止する目的で、一連のブラックリストを公開している。

 スパム問題の程度に関する評価はさまざまだが、MessageLabsが8日に発表したところでは、同社が5月にスキャンした電子メールのうち、76%がスパムだったという。これまで報告されたうちで最も高い数値だ。

 「英国や米国が、市民の利益よりも、ダイレクトマーケティング業界の利益を優先する限り、この問題は悪化の一途をたどるだろう。状況が大きく変わらない限り、今年の12月には電子メールの80%がスパムになるだろうというのが、われわれの予測だ。この夏にはスパムが90%に達することもあり得る」と、Linfordは警告した。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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