「It's good to be the king. - 王様になるのはいいことだ。」
上のフレーズは映画監督のメル・ブルックスの不朽の名ゼリフから無断で拝借したものだが、これ以外にMicrosoftがせっせと金をドブに捨てている理由を説明できるだろうか。彼らにとっては大した金額ではないが、Microsoftはさまざまな野心を満たすために金を使い続けている。
今週の前半、Microsoftは前四半期のXboxなどのコンシューマ向けハードウェアの部門の損失が前年同期比で約2倍になるとの見通しを明らかにした。普通の企業であれば、このニュースは経営上の深刻な問題として扱われたであろう。しかし、2820億ドルの時価総額を持つMicrosoftにとっては、この程度の損失はビジネスを行う上での必要経費として片付けられる。そして、そのことをわざわざ思い知らせるかのように、MicrosoftはXbox本体の価格を10%引き下げ業界を驚かせた。
PlayStation 2でXboxと競合するソニーはPlayStation 2のオンラインゲームにElectronic Arts(EA)のスポーツゲームを独占的に供給してもらうことに成功し話題を集めている。EAのオンラインゲームにおける影響力を考えればこれは非常に大きい。しかし、ソニーは今後も戦費のかさむいくさに駆り出されることになりそうだ。
オンラインゲーム事業の不幸なスタートにも関わらず、Microsoftは日本的なケイレツ企業と同じようにオンラインゲームを戦略的事業と位置づけている。Microsoftはゲーム以外の金食い虫事業に関してもどれかを縮小するといった様子は見せていない。MicrosoftはMSNのウェブ事業で9200万ドルを失い、デバイスや携帯電話用のソフトウェア開発で更に4200万ドルを失っている。
Microsoftはこれらの負け組みを養うためにいくらまで資金を垂れ流す余裕があるのかという質問をする人がいればそれは正しい表現ではない。結局のところ、Bill GatesとSteve Ballmerは自宅の裏庭で数十億ドルをバーベキューにして燃やしても全然平気なのだ。ことわざにある「勝者のための虹」の向こう側には金の壷が埋まっていることを2人はよく知っている。彼らは2度その壷を掘り当てた。最初は10年以上前、IBMのデスクトップOSに採用されるためにライバルと戦ったとき。そして、2度目はNetscapeとブラウザーで戦ったときだ。
オンラインゲームは270億ドルのビデオゲーム市場の将来を握る。そして、この賭けに参加する余裕があるのはほんの一握りの企業だけだ。しかし、もしオンラインゲーム市場が早い者勝ちで勝者が利益を独占する構造だとしたら、賭け金にいくら払っても払いすぎということはないだろう。
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