異なるデバイス間でデータを共有するためのサービス「SugarSync」が日本語版を公開した。PCのローカルフォルダ、ウェブ、スマートフォンなどさまざまな環境で常にデータを同期しておける。2Gバイトまでは無料で利用できる。iPadとiPhone用の日本語版アプリも間もなく公開予定だ。
代表的な競合サービスには「Dropbox」がある。だがSugarSyncの優れた点は、より柔軟に同期設定できるところだ。Dropboxは複数のPC間で「My Dropbox」という1つのフォルダを同期するが、SugarSyncでは複数のフォルダとデバイスを自由な組み合わせで同期できる。
例えばドキュメントが中心のフォルダは容量の小さいネットブックやタブレットと同期し、音楽ファイルを入れた大容量のフォルダは自宅のデスクトップと同期するといった設定が可能だ。
しかもこのような複雑な設定がクライアントソフトの管理画面から一目で把握できる。同期先の変更もドラッグアンドドロップで視覚的に操作できるようになっている。
他者とのフォルダ共有や権限管理、パスワード保護、編集前の状態に5段階で戻せるバージョニングなど、コラボレーション用途を想定した機能も充実している。
モバイル端末ではiPad、iPhone、Android、Blackberry、Windows Mobileに対応したアプリが配布されている。PCでドキュメントを編集すると即座に反映され、上記の端末からもアクセスできるようになる。現在は英語版のみ提供されているが、それぞれ日本語版が年内に登場する予定だ。
ファイルの種類に応じた機能も用意されている。音楽の入ったフォルダをiPadやiPhoneと同期しておくと、それらの端末からストリーミング再生できる。また、フォトアルバムという機能で写真を管理しておけば、そのままFacebookやFlickrにアップデートできる。
SugarSyncは2004年の設立。バックアップしているデータ量は2ペタバイト(200万Gバイト)以上で、これはDropboxと同規模だという。ユーザー数は公表していないが、米国外のユーザーが33%で、日本人は8%だという。
収益源はユーザー課金だ。30Gバイト利用できる個人向けオプションプランは月額4.99ドル/年額49.99ドルかかる。3ユーザーで100Gバイトを利用できるビジネス向けプランもある(月額29.99ドル/年額299.99ドル)。
日本語化にあわせ、SugarSyncのCEO、Laura Yecies氏が来日した。「有料サービスの月額5ドルという価格はスターバックス1回分。それだけでセキュアに、どこからでも同じデータを得られるようになる。これは価値があることだと思います」と話す。
Yecies氏はこれまでCheck Point Softwareでジェネラルマネージャーを務めたほか、YahooでYahoo! Mail事業部ジェネラルマネージャーを、AOLではNetscapeブラウザ事業部担当バイスプレジデントなどを歴任。SugarSyncには2008年に参画した。クラウドによるデータ同期サービスという市場の展望については次のように語った。
「長期的な展望としては、PCユーザーの80%くらいが何らかの形でオンラインにバックアップデータを持ちたいと考えるのではないでしょうか。PCのほかにモバイル端末を使っていれば、双方から同じデータにアクセスすることは当然考えます。ですからこの市場は、最低でも60〜70%のPCユーザーが利用する規模になるでしょう。この規模感は例えばウィルス対策市場とほぼ同じです。100億ドルの市場になるか、50億ドルの市場になるかわかりませんが、十分多くのプレイヤーが参加できる大きさだと思います」
「ウィルス対策のソフトでは、シマンテックやトレンドマイクロ、マカフィーなどさまざまな会社があり、それぞれが利益を上げています。同じようにこの市場にSugarSyncやDropboxのような会社がたくさん出てきてもおかしくありません。それだけの大きな可能性がある市場ですから、複数のプレイヤーが異なった得意分野を持つようになるでしょう」
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