ヤフーとディー・エヌ・エー(DeNA)がソーシャルゲーム事業で業務提携することに合意した。4月27日に開催した共同記者発表会では、ヤフー代表取締役社長の井上雅博氏とDeNA代表取締役社長兼CEOの南場智子氏が、両社で提供する新サービス「Yahoo!モバゲー(仮称)」について説明した。
Yahoo!モバゲーはソーシャルゲームに特化したプラットフォームになるという。ヤフーのポータルサイト「Yahoo! JAPAN」とDeNAが運営するモバイルゲームサイト「モバゲータウン」の既存ユーザーに対し、外部のゲーム開発者がゲームを提供できるようにする。ユーザーから見れば、Yahoo! IDでも利用できるモバゲータウンのPC版というイメージだ。
ヤフーは新たな市場の開拓と課金コンテンツの提供を、DeNAはPCユーザー層へのリーチと30代以上のユーザーの拡大を狙う。「国内ナンバーワンポータル、国内ナンバーワンモバイルゲームの2社の強みを生かし、PCの領域でナンバーワンのソーシャルゲームプラットフォームを作るのが趣旨」(井上氏)だという。
ヤフーは2400万人以上のID基盤と、月間71億6900万ページビューの集客力を持つ。ここからYahoo!モバゲーにユーザーを送客するとともに、課金用に「Yahoo! ウォレット」を提供する。また自社の広告エンジンを活用し、広告収益も上げていく。
DeNAはソーシャルゲームのノウハウを生かし、新しいゲームの企画、開発、運営や、プラットフォームのサービス展開を担当する。すでにモバゲーで提供している自社製ソーシャルゲームをYahoo!モバゲーに移植したり、モバゲー内の友人関係をYahoo!モバゲーにも持ち込めるようにしたりする。
Yahoo!モバゲーの収益モデルはアイテム課金と広告売上。ともに両社でシェアする。配分比率は非公表となっている。また、Yahoo!モバゲーのプラットフォームにゲームを提供した開発会社にも収益を還元する。
mixiやハンゲームという競合がありながらも、井上氏はPC向けソーシャルゲーム市場はまだ発展途上と見ている。「日本のソーシャルゲームはモバイルを中心に発展してきたが、海外ではPCを中心に成長してきた。いまは段々とスマートフォンにも伸びてきたところ。日本はまだPC、スマートフォンの市場がまだ出てきていない。日本でも当然伸びて行く可能性があるので取り組んでいく」(井上氏)
DeNAはモバイルでは多くのユーザーを持つが、PCのユーザー規模は小さい。ヤフーからの誘導によって短期間での成長を達成したい考えだ。「海外のFacebookを見ても、PCには可能性がある。その可能性を追求し、拡大するため、日本で最強のPCポータルであるヤフーと組ませていただいた」(南場氏)
両社は以前から共同事業の可能性について話しあう機会があったという。それがソーシャルゲームでの協業という形で具体化したのは2月。5月中旬にパートナー向け説明会を開催し、初夏には開発環境を提供する予定だ。Yahoo!モバゲーがオープンするのは晩夏になる見込みだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」