英国議会下院は英国時間4月8日、デジタル技術関連の新しい法案を賛成多数で可決した。これにより著作権所有者は、違法なファイル共有の疑いのある者に複数回の警告を発した後、その人物へのインターネットサービス提供の停止を求めることが可能になる。
英国のThe Telegraphの報道によると、議会下院を賛成189票、反対47票で通過した法案「Digital Economy Bill」は、著作権侵害に関係した疑いのあるウェブサイトへのアクセスを、英国政府の規制当局が遮断できるようにするものでもあるという。
同法案はまだ上院を通過する必要があるが、最初に法案が作成されたのは上院なので、この手続きは形式的なものでしかない。
この動向は、欧州政府の主要な一部が著作権所有者側を支持する姿勢であることを示している。フランスでも2009年10月に同様の法案が成立している。著作権所有者はこうした投票結果を歓迎している。
「英国の立法府はデジタル窃盗が経済に悪影響を及ぼすことを認識している」と、NBC Universalの法律顧問Rick Cotton氏は述べた。「(同法案は)違法行為を減らし、就労者を保護し、経済の構築を助けるため、注意深く整えられた枠組みをインターネットサービスプロバイダー(ISP)に与えるものだ」
同法案の通過は、いわゆる「スリーストライク」条項によって著作権所有者を保護しようと考える政府やメディア企業がいかに多いかを示す出来事でもある。スリーストライクとは、違法なファイル共有の疑いのある者に対して複数回の警告を発することを意味する用語だ。スリーストライク条項を含む法律のもとでは、特定回数の警告を送っても事態が改善しない場合、ISPに対し、サービスの一時中断や停止を求めることがあり得る。
スリーストライク条項を含む法律は論議を呼んでいる。ウェブ接続を切断することは、その人への水道や電力供給を止めるのに等しい、とインターネットユーザーを保護しようとする団体の多くは言う。請求書の支払いにも、電子メールの送信にも、さらには電話で話すにも、ネットへの接続が欠かせないからだ。
しかし、著作権所有者側は簡単な解決策があると言う。それは、デジタル音楽、映画、ゲーム、ソフトウェアの盗用をやめることだ。音楽業界は、訴訟、啓発活動、電子メールによる警告をすでに試した。現在は、海賊版の流通経路を断つためにISPの協力を求めている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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