インターネットの名前解決システムに関心のあるGoogleなどの企業が、ネットユーザーを近くのサーバへより迅速に誘導するための技術を提案した。
問題となっているのは、ドメインネームシステム(DNS)と呼ばれる技術だ。DNSは「CNET.com」のようなアルファベットで記述されたネットアドレスと、実際に該当するサーバへアクセスする際に使用される数値アドレスを変換する。GoogleのDNSに対する関心は非常に高く、ネットユーザーに最も近いネットワーク機器が特定のサーバの数値アドレスをすぐに用意できないときによく発生する遅延の一部を緩和するために、独自のサービスを立ち上げたほどだ。
今回の動きが興味深いのは、それが非常に一般的な作業を高速化できる可能性を秘めているからだけではない(ユーザーはネットサーフィンや電子メール送信など、インターネットでさまざまなタスクを実行するため、DNS名前解決クエリは大量に発生する)。独自のサービスを提供するだけでなく、インターネットを段階的に設計し直していこうというGoogleの強い意欲が垣間見えることも、また興味深い。Googleは、さまざまなウェブ標準の開発や促進にも積極的に取り組んでいる。
正しい数値アドレスを見つけるプロセスは、DNS名前解決と呼ばれる。そして、このプロセスでは、正しい回答を見つけるためにサーバ間で何度かリクエストのやりとりが発生することがある。ここで問題なのは、回答が返ってくる頃には、それが地球の裏側からもたらされ、地理的に不適当な回答が提示されることがあるということだ。一般的に、サーバまでの距離が遠ければ遠いほど、そのサーバとの通信は遅くなる。
これは、たとえて言うなら、ニュージーランドのオークランドで商品の価格を調べた際に、ニュージーランドドルではなく、米ドルで答えを返されるようなものだ。もちろん、自分でニュージーランドドルに換算することは可能だが、それは余計な手間である。
そこで、GoogleとNeustar UltraDNSの出番となる。両社は米国時間1月27日、DNSに地理的な知性を組み込むDNS拡張を提案した。
具体的に説明すると、今回提案された「Client IP information in DNS requests」と呼ばれるこの拡張は、DNSリクエストと一緒に、ユーザーのインターネットプロトコル(IP)アドレスの最初の4分の3を送信する。最後の4分の1は一定のプライバシーを確保するために切り落とされるが、一部のケースでは、最初の4分の3だけで地理的に適切な回答を特定することが可能だ。例えば、同拡張は、オランダにいるユーザーがGoogleにアクセスしようとした場合、カリフォルニアにあるGoogleのサーバではなく、オランダにあるGoogleのサーバのアドレスが返されるように設計されている。
次に予定されているのは、提案の評価だ。「われわれは全ての関係者と協力して、このソリューションの実装に継続的に取り組んでいくつもりだ。そして、DNS拡張(dnsext)メーリングリストでの盛んな議論を楽しみにしている」とGoogle Public DNSチームのメンバーであるWilmer van der Gaast氏とCarlo Contavalli氏は、今回の提案に関するブログ投稿で述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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