アイティメディアは12月17日、エレクトロニクス技術情報誌「EE Times Japan」を発行するE2パブリッシングの全株式を取得し、子会社化することを発表した。1550株を3000万円で取得する。
アイティメディアは同日、E2パブリッシングの親会社であるインプレスホールディングスと株式の譲渡契約書を締結。2010年1月1日に子会社化が完了する見込みだ。インプレスホールディングスはE2パブリッシングへの貸付の債権放棄を行うことになり、個別決算で9500万円の特別損失を計上する。
アイティメディアは2007年8月1日、IT技術者向けの情報サイト「@IT」内に「@IT MONOist」を開設。組み込み、メカ設計、電子機器、生産管理といった分野を中心に、製造業に従事するエンジニア向けに技術情報を提供している。
E2パブリッシングは、読者対象をエレクトロニクス企業の従業員に限定した無償配布誌「EE Times Japan」を発行するほか、エレクトロニクスの技術情報サイト「eetimes.jp」を運営している。
E2パブリッシングを子会社化後、アイティメディアは次の一手となるターゲティングメディア企業へのシフトを加速させる(参考「平成22年3月期 第2四半期決算説明会(PDF)」)。
具体的には、@IT MONOistとeetimes.jpの会員制化を進めるとともに、2010年1月発行分より「EE Times Japan」を電子化する(参考「EE Times Japan メディアキット 2010(PDF)」)。それぞれの読者データベースを共通の基盤に統合し、ターゲティングメディア型の広告商品を製造業へと拡大させたい考えだ。
インプレスホールディングスは「当初の想定に比べ、事業の重要性が低下したため」子会社の売却に至ったと発表している(「発表文(PDF)」)。同社はZDNet Japanの取材に対して、他の運営メディアとのシナジーが生まれにくかったことを要因のひとつに挙げている。
具体的には、インプレスホールディングスが展開する多数のIT情報サイトおよび情報誌の読者層と、EE Times Japanやeetimes.jpの読者層があまりにかけ離れていたため、異なるメディアを掛け合わせることで新たな効果を生み出すことができなかった。
当初の認識は全く逆。読者層が異なるからこそメディア運営を共通化した上で、「読者をうまく共有したり分類することで、デジタルや紙を問わずに新しい展開が可能になると期待していた。しかし、残念ながらそういった反応が起こらなかった」(インプレスホールディングス)という。
アイティメディアはZDNet Japanの取材に対し、E2パブリッシングの全社員6人を全て受け入れるとコメント。読者プロファイルの活用については「E2パブリッシングの読者情報は資産。重要性を意識している」と述べている。
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