ディー・エヌ・エー(DeNA)はモバイルポータルサイト「モバゲータウン」のAPIを公開し、開発者がモバゲータウン内でゲームを配信できるようにする計画だ。この詳細が10月5日に開催された「モバゲーオープンプラットフォーム Forum2009」において明らかにされた。
DeNAが公開するのは、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)向けのAPI「OpenSocial」に準拠したAPIと、DeNAが独自に開発した、モバゲータウン内のアバターと連動できるゲームAPI。開発者は同じくOpenSocialに準拠しているミクシィの「mixiアプリモバイル」や、gumiの「gumi Platform」向けアプリのデータを活用できるという。
APIを公開する理由について、代表取締役社長の南場智子氏は「ソーシャルゲームの盛り上がりがモバイルに押し寄せるのは間違いない世界的なトレンド。多くのプレーヤーが自由に創造していく場が最後に勝利すると判断した」と語る。さらに「モバイルでのユーザーの動きを世界で一番熟知しているのは日本のプレーヤー。日本でプラットフォームを構築した上で世界に出て行きたい」と意気込みを示した。
DeNAは自社開発のソーシャルゲームをすでに4タイトルモバゲータウン内で公開している。取締役ポータル事業本部長兼COOの守安功氏によると、1日1000万ページビューを超えるアクセスを誇るタイトルがすでに出てきているといい、「1日1億ページビューを超えるものも出てくる可能性がある」と潜在力の高さを語った。
モバゲーオープンプラットフォームの大きな特徴は、DeNAが課金プラットフォームなどを用意し、開発者のビジネスを支援する点にある。開発者は「モバコイン」というモバゲータウン内のゲーム専用通貨を使ってゲーム内アイテムなどを販売できる。売り上げはDeNAと分け合う形で、分配比率は開発者とDeNAが7対3となる。「通信キャリアの決済手数料や(売上金の)未回収リスクなどを考慮して比率を決めた」(守安氏)とのことだ。なお、モバコインは通信キャリアの月額通信料とともに請求される「キャリア課金」やクレジット決済、WebMoneyにより購入できる。
このほか、ゲーム内に表示する広告プログラムもDeNAが提供する。DeNAのアフィリエイト広告「ポケットアフィリエイト」や検索連動型広告などの「ポケットマッチ」、バナー広告などを用意。ユーザーが広告主のサービスに加入すると特別なアイテムを付与する、といったことができるようにする。
「モバゲータウンのアバターも、直接課金するのではなく、アフィリエイト広告とインセンティブを組み合わせることでうまくいった。直接アバターアイテムを購入するのに抵抗感を持つ人も少なくないが、『着うたサービスに加入すればアイテムがもらえる』というようにすればユーザーの反応は良くなる」(守安氏)
ゲーム内で販売・付与するアバターアイテムについては、アバターの見た目が変わるだけでなく、身に着けると攻撃力が上がるといったようにゲームとの連動性を高められるようにするとのことだ。「特別なアバター欲しさにユーザーがゲームを始めるといったこともありうるだろう」(守安氏)
DeNAでは5日から、APIに関する情報を公開する「Developer's Site」において開発者の登録受付を始めている。11月初旬より、先行開発パートナー30社を対象に開発環境を公開。12月にはパートナーを80社、2010年2月には200社に増やし、3月にはすべての登録企業に開発環境を公開する方針だ。ユーザーに対しては1月以降、パートナー企業のゲームを公開していく。
先行パートナーの1社であるKLabの代表取締役社長、真田哲弥氏は「モバゲーオープンプラットフォームはマネタイズがしっかりしているという点に魅力を感じる。海外のプラットフォームではユーザーがお金を使わないまま遊んでしまうことが多いが、モバゲーが作ってきた風土は特にゲーム内の追加課金に向いている」と期待を語る。
また、ドリコム代表取締役社長の内藤裕紀氏も「アバターをDeNAが提供するため、開発コストが抑えられるし、ARPU(ユーザー1人あたりの売り上げ)向上が図れる。また、全ユーザーにおける課金ユーザーの割合も、Facebookは1桁台前半、中国企業の場合は1%未満だが、お金を払うことに慣れている日本のモバイルユーザーであればかなり高くなるのではないか」と話し、モバゲータウン内でのゲーム提供に意欲を示した。
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