在日米国商工会議所(ACCJ)は10月1日、総合政策白書「インターネット・エコノミーの実現を日本で」を取りまとめ、独立した規制機関設置や周波数オークション導入、政府による情報通信技術(ITC)の利活用など70項目以上の政策提案を発表した。
白書では、日本におけるインターネット・エコノミーの主要課題について「政府の組織改革とリーダーシップ」「NTT改革」「電波政策の改革」「プライバシー、セキュリティおよびデータの可搬性」「知的財産とオンラインコンテンツ」「標準とイノベーション」の6点を提案。またITCの利活用についても、電子政府の推進や電子商取引の促進、インターネットの教育活用といった項目を挙げている。
政府の組織改革については、インターネット・エコノミーに関する監督権限を新規に独立した規制機関に与え、政策機能を規制機能から分離させることを提案。その実例として英国の情報通信庁(Ofcom)を挙げ、「日本版Ofcom」設立がベストプラクティスの1つとした。
また電波政策の改革では、商用電波の割り当て手法に市場ルールをとりいれた「周波数オークション」のほか、電波の柔軟な利用を実現する電波取引、非効率な電波利用者や警察、消防といった非営利組織などから市場価値を反映した電波利用料を徴収する合理化策などを提案。現行がインターネット環境下における効率的電波利用の妨げになっているとし、改めて検討する必要があると唱えている。
同白書は在京ACCJ会員企業25社以上からなる「インターネット・エコノミー・タスクフォース」がまとめたもので、政府など関係各所に対する共同提案の形がなされている。内容について、タスクフォース委員長でインテル法務・渉外統括本部渉外兼政府渉外部長の杉原佳尭氏は「規制改革を日本に迫るという趣旨ではなく、日米双方が強みを生かし、世界におけるリーダーシップを発揮することが狙い」と強調した。
提案実現のプライオリティについては「参加各社によって濃淡がある」(杉原氏)として明言を避けたが、「日米間対話の強化を唯一絶対の目標としつつ、利用者視点とイノベーション促進の2点をベースに進めていきたい」と説明した。
放送・通信に関する分野において、民主党が7月にまとめた政策集「INDEX2009」と似通った内容が記載されている点については「(白書の)とりまとめ段階において民主、自民問わず政治家の方を意見交換する機会に恵まれた」(杉原氏)としつつも直接の関与を否定。独立機関設置において、民主党が「日本版FCC(米国情報通信省)」を掲げているのに対し、ACCJがOfcomを例にとったことについては「(米国の大統領制と日本の議員内閣制という)政治制度の違いと、機関自体が持つ権限の在り方に違いがある」(同氏)と説明した。
ACCJでは今後、白書に基づき個別ワーキンググループを設置して具体的な検討を進めるほか、日本企業や研究機関などと緊密な連携を図りつつ議論を深めていくとしている。またアジア太平洋経済協力(APEC)などを通じて国際的議論を行い、日米によるリーダーシップを発揮していくとした。
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