グーグルは9月29日、動画配信サービス「YouTube」において、TBSテレビ(TBS)、テレビ朝日とパートナー契約を締結したと発表した。両社は同日よりYouTube内に公式チャンネルを開設し、コンテンツを配信している。料金は無料。
TBSはニュース番組「TBS News-i」を開設し、テレビ朝日は、「ANN ニュースチャンネル」とポータル的なチャンネルとして「tvasahiチャンネル」を開設した。
今回の提携にあたっては、ユーザーがアップロードした動画の中から、パートナー企業が著作権を持つ動画や音声を特定できる「コンテンツIDシステム」を採用。放送局から得たファイルをもとに照合し、違法動画がアップロードされると自動で削除もしくは警告文を表示する仕組みになっている。グーグルは、すでにこのコンテンツIDシステムをもとにTBSとテレビ朝日の違法動画を削除している。
TBSのコンテンツ事業局長である氏家夏彦氏は、違法動画のうち8割以上がドラマだったと明かした。また、同社のドラマやアニメのDVDの販売動向について、「海外での販売が失速している。世界的な不況もあると思うが、違法動画の流通が要因の一つではないか」と述べた。
「違法動画は動画ビジネスにおいて決定的なダメージを与える。違法動画が削除されるのはコンテンツホルダーにとってプラス。健全な動画ビジネスを図りたい」(氏家氏)と今回の提携に期待を寄せる。
テレビ朝日のコンテンツビジネス局クロスメディア専任局長である古川柳子氏は、「海外からのアクセスポイントとして、ANNニュースを幅広くいろいろなチャンネルで見てもらいたい。世界に向けた日本のニュースとして配信する」とコメントした。また、違法動画についても、「コンテンツIDシステムを活用し、本格的にコントロールしてもらう。映像を使ったコミュニケーションを豊かにするため、今後もYouTubeとともにルールやリテラシーを考えていく」と語った。
両社が配信するコンテンツには9月29日時点、広告は入っていない。TBSによれば、「TBSオンデマンド」で昔のドラマを配信したところ、前年比5倍にのぼる売り上げを記録したという。その経験から、「YouTubeにも有料動画配信のシステムを構築してもらいたい」(氏家氏)とコメント。これに対して、米国Googleパートナー事業戦略担当副社長のDavid Eun氏は、「広告に依存しないビジネスモデルを検討しているため、有料コンテンツはあり得る」とし、今後は有料配信を行う考えも示した。
テレビ朝日では、今回のチャンネルを「ユーザーとテレビが連携した映像コミュニケーションを模索する場」と位置づけている。ウェブや放送、DVD、イベントなどクロスメディアを展開していく中で、ウェブコンテンツの位置づけをはっきりさせながら課金などのビジネスモデルを展開していくとした。
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