「iPhoneアプリ向け広告の国内市場は月間約25億インプレッションの規模になる」。Next Advertising&Marketing 2009というイベントで、iPhoneアプリ向けの広告ネットワークを開発中のノボット代表取締役社長の小林清剛氏がiPhoneの広告市場としての可能性を語った。
iPhoneを広告市場としてみるとき、まず気になるのが、iPhoneはどれくらい売れてるのか、どんな人が使っているのか、どんな広告が出せるのか、広告効果・成功事例はあるのか、といった事柄だ。
小林氏によれば、iPhoneとiPodシリーズは世界で4000万台以上出荷されており、そのうち日本国内は140〜160万台。iTunes Storeからのダウンロード回数は15億回以上にのぼり、リリースされたアプリ数は約6万5千本だという。
では、どんな人がiPhoneを使っているのかというと、「若く、リッチで、影響力のある人たちが多い」(小林氏)そうだ。
admobとForrester Researchのデータによれば、iPhoneユーザーの50%は18〜34才。さらに男性が約60%を占めるという。ほかにも収入が高い層が多い、インフルエンサーである、ほかのスマートフォンよりもウェブやメールの利用頻度が圧倒的に高いというデータが紹介された。
米国におけるiPhoneアプリ向けの広告のCPM(広告が1000回表示されたときの広告単価)は、0.5ドル〜2.0ドルが一般的だという。クリック率は0.7〜2.6%、広告表示回数はアプリが1回起動されるごとに3〜5回、無料アプリの場合は1個につき80回ほど利用される傾向にあるそうだ。
一方で国内市場はどうだろうか。小林氏は、iPhone出荷台数を160万台、1日のアプリ起動回数を1台あたり10回、広告表示回数を1回起動あたり5インプレッションと仮定した場合、それぞれを掛け合わせた約25億インプレッション/月が現在の日本のiPhoneアプリ向け広告市場規模になるだろうという見解を示した。
「日本の場合、CPMは50〜100円になるのではと言われている。クリック率はおそらく変わらないだろう。ただギミックアプリ、たとえばおならの音がするようなアプリは広告効果が高くない。TwitterやRSSリーダーのように毎日使うアプリは効果が高い。アプリの内容によって数字が変わってくる」(小林氏)
iPhoneでは音声、映像、動画、電話などの機能を広告にも活かせる。広告主の要望に応じてさまざまなアクションをユーザー求めることが可能だ。Land RoverのiPhone広告は、クリックするとLand Roverの動画が再生される。動画を見た後に郵便番号を入力すると現在地の近くの販売代理店が表示される仕組みだ。
Land Roverの事例では、広告をクリックしてから何らかの行動を起こした人は23%いたという。内訳は動画を見た人が88%、代理店を検索した人が9%、代理店に電話した人が3%だった。
ほかにもiPhoneアプリ広告には、デバイスIDによるユーザー情報取得、GPS連動による位置連動型の広告の表示、電話誘導、海外訴求が可能になるという特徴がある。
日本でも販促アプリというカテゴリのiPhoneアプリがある。千趣会のベルメゾンカタログアプリは、商品情報を自動で更新してくれる無料アプリだ。商品画面からクリックしてそのまま電話注文できる。こういったアプリは多くの企業が取り組むだろうと小林氏はみている。
iPhoneアプリに広告出稿するための国内の主なネットワークは下記の4事業者がある。
ノボットも8月下旬に「アドメーカー」というサービスでスマートフォンアプリ向けの広告ネットワーク事業に参入する。アプリ開発者の広告収益を最大化できるように複数の広告ネットワークの表示を最適化する機能があるという。2009年度中にiPhone、Android、Nokiaのアプリに対応する計画だ。
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