これでインターネットは、少し安全になったかもしれない。
米連邦取引委員会(FTC)は米国時間6月4日、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所(サンノゼ支部)を通じて、Pricewert LLCの業務を停止させたと発表した。
Pricewertは、カリフォルニア州サンノゼを拠点とするインターネットサービスプロバイダ(ISP)で、スパムや児童ポルノなどの有害な電子コンテンツを集め、その配信に意図的かつ積極的に関与していたとされている。
FTCは一般的に、法律に違反していた、または違反していると「信じるに足る理由」があり、訴訟手続きが公共の利益に沿っていると思われる場合に、訴訟を提起する。
同裁判所は、一方的緊急差し止め命令を発して、Pricewertの違法行為を禁止し、同社の上流のインターネットプロバイダおよびデータセンターにサービス提供の停止を要求した。Pricewertは現在、完全にインターネットから排除されている。同命令により、Pricewertの資産も凍結されている。
FTCの訴状によると、3FNやAPS Telecomなどさまざまな名称の下で事業を展開するPricewertは、インターネットでの悪質で有害な違法電子コンテンツの配信をもくろむ犯罪者を募り、それらと共謀していたという。コンテンツとしては、児童ポルノ、スパイウェア、ウイルス、トロイの木馬、フィッシング、ボットネットのコマンド&コントロールサーバ、および暴力、残忍性、近親相姦をテーマにしたポルノなどがあったと報じられている。
Pricewertは、犯罪者らが互いに連絡を取ることを目的に設置されたフォーラムを介して同社サービスを宣伝していたとされている。またFTCによると、同社は、オンラインセキュリティコミュニティーからの削除要求を無視したり、犯罪的要素を同社が管理する他のインターネットプロトコルアドレスへと移動させて発覚を防いだりすることにより、同社の顧客による犯罪行為を隠ぺいしていたという。
またFTCは、Pricewertがボットネットの展開と運用にも携わっていたと主張している。ボットネットとは、乗っ取られた大規模なコンピュータのネットワークのことである。地方裁判所に提出されたインスタントメッセージ履歴のコピーには、Pricewertの上級従業員がボットネットの構成について「ボットハーダー」(ボットネットを操る攻撃者)と議論している様子が残されている。
FTCは地方裁判所への訴状で、3FNがホストするコマンド&コントロールサーバによって制御される悪質なソフトウェアプログラムが4500個以上存在すると見積もっている。このマルウェアには、キー入力履歴の採取やパスワードやデータの盗聴が可能なプログラム、バックドアで密かに遠隔制御を実施するプログラム、スパムを配信するプログラムなどがある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
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