Googleは、画像の正しい上下の向きを判別させることで、人間になりすましたコンピュータを撃退する新しいテストについて、研究成果を発表した。
インターネットには、スパム送信用電子メールアカウントの取得や、検索結果におけるサイト順位向上を目的とするコメント投稿に使用される自動コンピュータシステムを選別して排除するという、やっかいな問題が残されている。Googleはこれまでも電子メールやウェブのスパムをブロックするために多大なリソースを費やしてきたが、今回、ボットを阻止するための新しいテストを試みた。
このテストは、CAPTCHA(Completely Automated Public Turing test to tell Computers and Humans Apart:人間とコンピュータを区別するための完全に自動化された公開チューリングテスト)と呼ばれる選別技術の最新の改良版だ。この新技術では、人間は多くの場合、写真を見て正しい上下の向きを言い当てられるが、コンピュータにはそれが難しいという特徴を利用している。
CAPTCHAは今日、広く普及しており、通常は人間が識別可能な範囲で文字をぼやかしたり、歪めたりして使用される。しかし、この分野では、3D画像や犬と猫の識別など、さまざまな研究が行われている。
研究論文の執筆を担当したGoogleのRich Gossweiler氏とMaryam Kamvar氏、Shumeet Baluja氏は、この画像方向認識技術について、論文の中で次のように説明している(クリックしてPDFファイルを表示)。
この作業には、多くの場合非常に複雑な画像内容の解析が要求される。通常、人間はこの作業が得意だが、機械は概して苦手である。
ウェブ検索結果から得られるものも含め、使用できる画像は膨大な数に上る。私たちは、画像の向きを自動的に検知する技術を使って、正しい上下の向きを容易に自動判別できる画像を排除し、その後、一般ユーザーからのフィードバックをもとに、残った画像の正しい上下の向きを人間が判別できることを確認する。
従来のテキスト認識技術と比べ、このCAPTCHA技術が優れているのは、言語に依存しないことやテキスト入力が不要であること(モバイル機器の場合、この点は重要)、さらに文字変形以外のCAPTCHA生成に別のドメインを使用することなどだ。このCAPTCHAは高速な実装が可能で、使用できる画像はほぼ無尽蔵にある。
私たちは、この技術の実効性を測定するために、大規模な実験を行った。(中略)その実験結果によると、新しいCAPTCHA技術は、人間では成功率が高く、ボットでは成功率が低かった。また、テキストを入力する必要がない上、テキストベースのCAPTCHAに比べて、ユーザーがより楽しめるものになっている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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