Appleは米国時間4月7日、「iTunes」における一律99セントという従来の価格体系を変更した。レコード会社は今後、新たにリリースされた楽曲に1.29ドルを課金することを選択できるようになる。カタログに含まれる一部の旧作は69セントで販売されるが、他の楽曲はすべて、これまでの成功で実証済みの価格である99セントが維持される。価格変更については、2009年1月にCNET Newsが最初に報じていた。
iTunesの新価格体系は、Appleの同サービスの顧客にとって、忠誠心が試される過去最大の試練になるかもしれない。iTunesは2001年1月のサービス開始以来、デジタル音楽販売の同義語となってきた。同サービスは1曲の価格を99セントに固定し、5年以上にわたり値上げをしていなかった。
この戦略は、これまでAppleに成功をもたらしてきた。調査会社NPD Groupが最近行った調査によると、2008年に米国でデジタル音楽を購入した人の87%が、iTunesから楽曲をダウンロードしたという。
では、なぜ今になって価格を変更するのだろうか?
4大レコード会社は長年にわたり、iTunesで販売する楽曲の料金設定に関して、自ら管理する権利を拡大するよう強く要求してきた。Appleはこうした圧力に折れた格好だが、楽曲からデジタル著作権管理(DRM)技術を外して販売する権利と引き換えに応じたものとみられる。
大いに気になるのは、新たな価格体系がAppleと音楽業界にとってどんな意味を持つかということだ。
大手のレコード会社は数多くの検証を経て、音楽ファンがヒット曲に1.29ドルを支払うだろうと確信した、と複数の業界筋は述べている。だが彼らによると、不安定な時代においては、これがどれほどの売り上げをもたらすのかを判断するのは難しいという。レコード業界は、古い楽曲に対して、iTunesの従来の固定価格である99セントから30セント値下げすることで、販売を再活性化できればと期待している。
ただし、iTunes上の楽曲の大部分が価格変更もなく値下げもされていないことは、指摘しておくべきだろう。The New York TimesのBrad Stone氏は、ヒット曲100曲のうち、現在1.29ドルで販売されているのは33曲しかないことを確認した。
当然ながら音楽業界は、低下傾向にあるCD販売や、違法なファイル共有に起因する損失を補おうとしている。だが、多くのデジタル音楽ファンにとって、レコード会社が抱える問題は自らが招いたものだ。音楽業界は、売上増加策に大勢が支持を表明するなどと期待するべきではない。
音楽ファンは今後も、これまでやってきた通りのことを行う可能性が高い。つまり、自分が価値を見いだせるものに金を払うということだ。最も確かなのは、彼らがiTunesの新価格体系を支持するかどうかの結果は、今後の売り上げに現れるということだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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