MicrosoftのBusiness Divisionで社長を務めるStephen Elop氏は、米国時間4月1日に行われたWeb 2.0 Expoの壇上での討論会で、まとめ役のTim O'Reilly氏と対談し、伝統的なMicrosoftのOfficeアプリケーションが、ウェブ上でのサービス提供への移行につまずいており、今後も成功は望めないとする、O'Reilly氏の主張の誤りを論ばくした。
Microsoftでやり手の広報担当役をも務めるElop氏は、Wikipediaを始め、多くの企業はWeb 2.0での成功から得られた教訓として、エンタープライズコンピューティングおよびMicrosoft製品への進出を果たそうとしていることを指摘した。
Elop氏は「(企業内の)ファイアウォールの背後で生じていることは、すでにインターネット上で起こった状況に似通っている。エンタープライズ分野における相違点としては、顧客が進んでお金を払いたいと望むものへ、バリューの転換を図ることができるということにある。ソーシャルネットワークは、金銭面で壁にぶつかっているかもしれないが、エンタープライズ市場では、(Web 2.0は)十分に機能しているのである」と語った。
Elop氏は、その成功の顕著な例として、SharePointを挙げている。SharePointは「これまでのMicrosoftの歴史上でも最も急速な成長を遂げている製品であり、その理由としては、Web 2.0の原理が適用されていることを挙げられる」と、Elop氏は述べた。SharePointの価値ある成功を強調しつつ、Elop氏は「Microsoftが1ドルの売り上げを得るごとに、顧客には目ざましいバリューが提供され、開発者にとっては、7〜8ドル相当の売り上げが転がり込むことになる」と語っている。
また、Elop氏は、Microsoftが現在、いくつかのアプリケーションを「Microsoft Online Services」の形で提供中である点も指摘した。NikeやCoca Cola Enterprisesなどの複数企業が、Microsoftのホストするアプリケーションへと、有料でオンラインからアクセスするサービスを利用している。
製品分野のニュースとしては、Elop氏は、iPhone版のOfficeが発表される可能性をほのめかした。その発表は、「まだ」近日中というわけではないものの、「今後も楽しみにしていてほしい」と、Elop氏は付け加えている。また、Elop氏は、クラウドベースのOfficeスイートに関しては、機能限定版ながらも、まもなくリリースが行われる予定であることを明らかにした。
O'Reilly氏は、それが無料提供されることになるのかを尋ねた。Elop氏は「広告でサポートされることになる。完全に無料で提供されるような製品などは存在しない」と答えた。一方、無料だが広告が表示されるバージョンとは異なり、有料バージョンの(ウェブ版)Officeスイートには、SharePointとの統合や、多くの消費者にとって不可欠の存在である「ユニファイドコミュニケーション」機能との連携なども用意されているという。では、その提供は、一体いつになるのだろうか?Elop氏は「ベータ版のコード提供まで、そんなに長い時間はかからないだろう」としつつも、その提供は「2009年中ではない」と述べた。
さらに、もう少し提供まで待たねばならない他のMicrosoftの製品群の中には、Twitterに対抗する製品が含まれる。Elop氏は「現在、社内の企業利用環境での試験運用が進んでいるところだ」と説明した。多くの若年層の従業員が、このコンセプトを大いに支持する傾向があるのに対し、(不況の影響で社内に残ることも多い)やや年配の従業員は「いまだに電子メールさえ満足に使いこなせない」状況にある場合が多く、企業内でマイクロブログ機能を普及させるのは容易ではないとの見方にも、Elop氏は言及している。
また、Microsoftは、同社製品群におけるオンライン提供コンセプトの採用が、かなり遅いとの弱点はあるものの、Elop氏は、同社が新技術への投資を継続的に進めていることも強調した。Elop氏は「現在の経済事情が上向くようになるには、生産性の向上という手段しか残されていない。この厳しい時期ではあるものの、われわれには、最後までやり遂げる力がある。そういうわけで、われわれは研究開発分野に90億ドルを割いている。今後も革新を続けねばならない」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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