12月1日に開始したNHKの動画配信サービス「NHKオンデマンド」は、開始1週間で会員数が8000人、動画再生回数が7万5000回となった。同社放送総局特別主幹の関本好則氏が12月9日、東京都内で開催された「JASRACシンポジウム2008」において明らかにした。
関本氏によると、サイトへの訪問者数は累計20万人にのぼるという。「出だしとしてはこんなものかなという印象」(関本氏)とのことだ。
NHKオンデマンドは、NHKで放送された番組をインターネット上で有料配信するサービス。放送翌日から1週間限りで配信する「見逃し番組」と、過去の作品が見られる「特選ライブラリー」の2種類がある。
見逃し番組では11月末に開催されたフィギュアスケートの大会「2008NHKフィギュア」の女子シングルの模様やNHKスペシャル、特選ライブラリーでは「NHKスペシャル 映像の世紀」や大河ドラマ「翔ぶが如く」「武田信玄」などが人気だという。
NHKではNHKオンデマンド事業を3年で単年黒字化し、4年目には累積赤字を解消したい考え。「月額1470円の『見逃し 見放題パック』加入世帯が40万件に達すれば、単年で黒字化すると試算している」(関本氏)
課題は、NHKオンデマンドの話題作りだ。講演中、聴講者のうちNHKオンデマンドを見たことがある人に挙手を求めたところ、手を挙げた人は1割程度に過ぎなかった。「民業を圧迫してはいけないということで宣伝を控えたが、相当宣伝をしないと駄目かも知れないと実感した」と関本氏は苦笑いを浮かべた。
扱えるのが過去放送した番組の再配信のみということもあり、「二次利用作品しか使えないという足かせがある。どれだけ話題性を作れるかが難しい問題だ。新しい目玉を付けないと普及しないのではないかと思っている」(関本氏)とし、規制がサービスの壁になっていると語る。
「景気が悪くなり、薄型テレビも売れない。(NHKオンデマンドをテレビ向けに配信する)アクトビラもそんなにユーザーが伸びるとは思えない。不幸が重なった状況でスタートするので、単年黒字化が3年でできるかわからないが、視聴動向を見ながらいかに魅力あるものにするか考えていきたい」(関本氏)
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