Wikipediaが英国で運営されるInternet Watch Foundationのブラックリストに追加された。これを受け、英国のインターネットサービスプロバイダー(ISP)らが同サイトへのアクセスをフィルタリングし始めた。
現地時間12月6日に同国でWikipediaを編集しようとした多くのユーザーは、次のような警告を目撃することになった。
WikipediaがInternet Watch Foundationの運営する、英国におけるウェブサイトのブラックリストに入った。これを受けて、あなたの利用するISPがアクセスの一部をブロックするようになっている。このおかげで、残念ながらWikipediaでは異なるユーザー同士を識別できなくなった。何の罪もない利用者をブロックせずに、不正利用者を遮断することができない。
Wikipediaの管理者たちによる掲示板をみると、Virgin Media、Be/O2/Telefonica、EasyNet/UK Online、 PlusNet、Demon、Opalが透過型プロキシを有効にしたために、このようなことが起きていると書かれている。透過型プロキシを有効にしたことの影響としては2点挙げられる。1点目は、プロキシでフィルタリングされたコンテンツをユーザーが見られないこと。2点目はプロキシを通過するすべてのユーザートラフィックが、プロキシごとに同一のIPアドレスを割り振られることである。Wikipediaは荒らし行為を防止するため、ユーザーをIPごとにブロックする。したがって、1人でも荒らし行為をはたらくと、その人が利用するISPの全ユーザーがWikipediaを編集できなくなる。結果として、リストに載ったISPのユーザーたちは、個人を特定されないまま編集作業がまったくできなくなるのだ。なお、登録ユーザーたちは引き続き編集に携われる。
Internet Watch Foundationのフィルタリングに引っかかったコンテンツは児童ポルノとみなされたもの。対象コンテンツのなかには1970年代のLPカバーもあり、これは物議をかもしつつも、いまだ流通している。
管理者たちの掲示板によると、フィルタリングは、Wikipediaでセキュアサーバを利用するか、URLのパラメータを利用してページを見つけるようにリクエストを送信するか、の方法で簡単に回避できるという。しかし、この問題に対処するためのフィックスは現在見つかっていないうえ、そのようなものが出される予定もない。
Hahnchenと名乗るあるユーザーは、掲示板に次のように書いている。「英国で広大なインターネット検閲に出くわすのは今回が初めてで、とてもショックを受けている。われわれが中国のようなGreat Firewallを構築していたとは、これまで全く気づかなかった。自分たちのことは内密にしてきただけのことだった」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」