YouTubeは11月25日、都内で2009年の事業戦略説明会を開催した。米国Googleからコンテンツ担当副社長のDavid Eun氏が来日したほか、会場にはエイベックス・マーケティング、角川デジックス、パナソニックら、同社のパートナー企業も駆けつけた。
冒頭、Eun氏はYouTubeのこれまでの実績について、「23カ国でサービスを提供しているが、トラフィックの70%が米国以外。もちろん日本も重要な位置を占めている。YouTubeは間違いなくグローバルブランドだ」と述べた。
さらに同氏が最も強くアピールしたのが、コンテンツパートナーがユーザーによってアップロードされた自社コンテンツを管理できる仕組みだ。これは「コンテンツIDシステム」と呼ばれるものだ。
コンテンツパートナーがあらかじめコンテンツIDデータベースにサンプルファイルをアップロードしておけば、ユーザーが同じコンテンツをYouTubeにアップロードするたびに照合し、権利者が対応方針を決定できるようになっている。
「コンテンツIDシステムは素晴らしく高い精度で稼動している。現在もアップデート中で、最大限の努力を払っている。ユーザーがアップロードした20秒以下のコンテンツでも、権利者のファイルとマッチングできる」とEun氏は自信を見せた。
このシステムで自社が権利を持つ動画を発見した場合、コンテンツパートナーは以下の3つの選択肢の中から行動を決定することができる。
Eun氏によれば、現在300以上のパートナーがコンテンツIDシステムを利用しており、90%以上のマッチ動画について「マネタイズ」というオプションが選択されているという。
人気動画の大部分が、ユーザーによって投稿された動画で占められていることも明かされた。コンテンツパートナーの公式動画よりも、ユーザー動画の再生回数が多くなる傾向があるため、一部のパートナーはユーザー動画をマネタイズすることで、50倍の再生回数と収益を達成したという。
Eun氏はIn-Video動画広告、Click to buyといったYouTube独自の広告メニューを紹介し、中心にユーザー、コンテンツパートナー、広告主の間でYouTubeを中心としたエコシステムが機能していることを強調した。
In-Video動画広告は、動画の最初の15秒に流れる広告。ユーザーはその広告を続けて見るかどうかを自分で選ぶことができる。「Click Through Rate(クリック率)が非常に高く、従来の15倍。選択肢があるため、広告のパフォーマンスが高い」とEun氏は述べる。
「YouTubeにおける広告は、ユーザーの満足度を意識しながら、邪魔にならないようにすることが大事。一方で広告主としては表示機会の向上を期待している。この2つのバランスが取れる技術を我々は持っている」(Eun氏)
Click to BuyはECサイト向けの広告ソリューションだ。PV、映画、歌などの動画コンテンツを見た後に、それに関連した商品を購入できる仕組みで、パートナーのECサイトに誘導する。Click to BuyはコンテンツのIDシステムとも連動するため、ユーザーがアップロードした動画のページに適用することで販促にも使えるという。
最後にEun氏は、今後の事業戦略のポイントとして、コンテンツIDシステムのさらなる改善、動画配信地域の選択やキャプションの翻訳機能などとグローバルマーケットへのリーチ拡大策、コンテンツパートナーとユーザー間で双方向のやりとりができる仕組み、収益性の向上の4点を挙げた。
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