YouTubeが、米共和党大統領候補John McCain氏の陣営から出された要請を拒否した。同陣営は、削除依頼の対象である政治関連ビデオについて、法的観点からの見直しを求めていた。
Google傘下のYouTubeは米国時間10月14日夜、McCain陣営への回答(PDF)の中で、選挙運動を特別扱いすることはできないし、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)を根拠に出された著作権侵害の苦情が合法かどうか「確認する立場にはない」と述べた。
McCain陣営は、ニュース放送など著作権で保護された制作物の短い抜粋を使用した同陣営の政治広告や政治関連ビデオの一部が、YouTubeに登場した後、DMCAの削除依頼の対象になってきたことに立腹している。McCain氏および副大統領候補Sarah Palin氏の陣営の法律顧問は、こうしたビデオが「即座に」削除され、10日間にわたって見られなくなるケースが多い、と指摘している。選挙運動中の10日間といえば、かなり長い期間だ。
McCain陣営は10月13日にYouTubeに書簡を送り、「政治家候補とその陣営」に送られたDMCAに基づく削除通知について、「法的観点から徹底的に見直す」よう求めた。その翌日にYouTubeの主席弁護士Zahavah Levine氏が送った、McCain陣営の要請を拒否する内容の回答から引用する。
米大統領選挙に関連するコンテンツは非常に有益で、最高レベルの保護を行うに値するという意見には賛成ですが、当社のグローバルなサイトには、世界中のユーザーが一様に重要と考えるコンテンツはほかにもたくさんあります。例として挙げるだけですが、世界中のあらゆるレベルの政府機関が行っている政治運動や、人権運動、それ以外の重要な意見も含まれています。相手が個人であろうと、大企業であろうと、公職の候補者であろうと関係なく、われわれは特定のカテゴリーのコンテンツを優遇せず、すべてのユーザーを公平に扱うよう配慮しています。
この件に関して真に問題なのは、DMCAに基づく削除プロセスを悪用している個人や団体です。あなた方をはじめ、コンテンツをアップロードしているユーザーは、われわれがこの難しい問題に取り組むにあたって非常に重要な役割を果たすことができます。対抗する通知を出したり、プロセスを悪用した削除通知の撤回を求めたり、公表して、こうした行為について本人が公的な場で説明できるようにしたりすることが可能です。
たとえば公正使用の原則を強化するなど、DMCAに基づくYouTube上の削除プロセスの悪用を撲滅する取り組みで、McCain上院議員(または大統領)と協力することを楽しみにしています」
McCain陣営を怒らせているものの一例は、CBS NewsからのDMCAを根拠とする削除依頼に応じてYouTubeが削除した動画である可能性が高い。この動画はMcCain陣営の広告で、米民主党大統領候補Barack Obama氏が物議を醸した「豚に口紅(表面を飾っても本質は変わらない)」発言を行ったときの映像と、CBS NewsのアンカーKatie Couric氏が性差別を指摘する短いビデオクリップを利用していた。
編集部注:CNET NewsはCBS傘下のCBS Interactiveが運営しています。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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