「キラーアプリケーションが必要」--MSのマンディ氏、クラウドコンピューティングを語る

文:Mike Ricciuti(CNET News.com) 翻訳校正:編集部 2008年09月26日 12時13分

 マサチューセッツ州ケンブリッジ発--業界の誰もがそう感じているように、Craig Mundie氏も、多くのコンピューティングがクラウドへと移行していると感じている。ここで大きな疑問となるのは、需要を促す「キラー」アプリケーションになるのは何かということである。

 Microsoftの最高研究戦略責任者であるMundie氏は米国時間9月25日、当地で開催されたEmTechカンファレンスにおいて、コンピューティングの次のフェーズに対する同社のビジョンについて語った。そのビジョンには、クラウドベースのコンピューティング、ロボット工学、広範囲センサーの活用の増大などが盛り込まれていた。またMundie氏は、クライアントベースのOSについても言及した。

 もっともMundie氏は、ほとんどの人が「Windowsを選択するのではない。アプリケーションを選択している。人々はキラーアプリケーションを選択しているのであり、(コンピューティングの)次世代もこれは変わらない」ことも認めた。

 「新しい複合プラットフォームに移行してもこの状況は変わらないと思う。人は鉄や基盤OSの部分が何であるかなどあまり気にはしない」(Mundie氏)

 Mundie氏の発言は、クラウドコンピューティングのさらなる普及に伴う、Microsoftの第一の懸念を強調するものである。いかにしてWindowsの価値を維持すればよいのだろうかという問題だ。

 これはMundie氏とチーフソフトウェアアーキテクトであるRay Ozzie氏が、OSはローカルな処理において非常に重要な役割を果たすとみなすMicrosoftの新しい「クライアント/クラウド」戦略として取り組まなければならない大きな問題である。最近ウェブベースのサービスを開始したAdobe Systemsも、同意見である。しかしGoogleなどの競合他社は、ウェブベースアプリケーションこそが将来の開発を促進するものであると確信している。

 今回Mundie氏が論じたビジョンは広大なものだったが、多くのWindowsユーザーを悩ます問題はごく小さなものである。

 カンファレンスのある参加者はMundie氏に対し、Microsoftは、例えばMundie氏がビジョンにおいて「spatial computing」と呼ぶもののような技術革新を、人間に近いレベルにまで落とし、コンピューティング技術によって人間のミスや誤解を認識できるようにすることはできないのかと質問した。

 最近「Windows Vista」に移行したというこの参加者は、自分の妻はパソコンのシャットダウン方法がわからず、壁のコンセントを抜くという原始的な方法に逆戻りしてしまったと述べた。Vistaは彼女に救いの手を差し伸べることはできなかったのだろうか?

それに対する回答としてMundie氏は、「機能の進化と、過去との互換性維持の間にはいつも駆け引きがある。奥様が簡単にVistaのシャットダウン方法を発見できるようになっているべきであったが、われわれの力がまだそのレベルに達していなかった」と述べた。

 Mundie氏は、「Office 2007」の「リボン」機能に言及した。これはOfficeにある多数の機能を容易に見つけられるようにするためのものである。同氏はまた「Bob」という製品についても語った。こちらはMicrosoftが1990年代に、新しくWindowsを利用するユーザーをナビゲートするために発売した「ちょっと嘲笑された製品」だ。この製品は失敗に終わったが、同社は少なくとも1度はBobを拡張した。数年後「Word」の一部として提供された「Clippy」という機能である。こちらも評判が良くなかった。

 同氏は、「Bobでは、サイドバーによってユーザーと対話することにより、操作方法を説明しようとした。Clippyは十分な支援とはならなかった。シンプルなものを作ろうとすると、ソフトウェアはかなり複雑になってしまう」と述べた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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