実際、コンピュータ技術が普及してから何年も経つが、IBMの最新の基幹プロセッサである「Power6」が登場するまで、IBMでさえも、2進数に変換せずに10進数計算をすることはできなかった。
普通の電卓では、大きい数字を処理しようとすると、すぐに計算できなくなってしまう。確かに、Googleには問題があるかもしれないが、ほとんどの電卓は、1,999,999,999,999,993という数字を入力することさえできず、もちろん計算もできない。また、正しく計算できるWolfram Researchの「Mathematica」のようなソフトウェアの市場は大きくない。
Googleは計算ミスが起こることを認め、声明の中で、「Googleウェブ検索の電卓機能が一部の計算で正しく機能しないことを認識しており、この問題をさらに詳しく調べていく。今回の件で利用者に迷惑を掛けたことを申し訳なく思う」と述べた。
大きな数字の計算は見かけによらず難しい。大きな数字であれば、答えが間違っていても、Googleを大目に見るべきではないだろうか。
だが、それは違う。大きな数字にちなんだ社名を持つ会社であれば、もっと高い基準を保つべきだ。
Googleが、大きいが精度の高い数字が含まれていることを検出し、その計算式をより高度な数学アルゴリズムを持つ別のサーバに送信した場合、計算が若干遅くなるかもしれない。検索エンジンが速ければユーザーがより多くの検索を行えるため、Googleにとってサーバの応答速度は非常に重要である。しかし、これはGoogleの中核となる企業文化、イメージに関わる問題だ。計算ミスをするGoogleは、星が余分にプリントされている星条旗に身を包む政治家のようなものだ。
結局のところ、Googleは、新規株式公開で「2,718,281,828ドル」を調達することを決定し、自然対数の底である「e」を社名に持ち、数学の問題を解くことができる就職志望者を採用している企業なのである。
Googleがアルゴリズムを修正できれば理想的だろう。Microsoftも、最近の「Excel」の計算機能の問題でアルゴリズムを修正した。さらに、Intelも1990年代、多額の費用をかけて、一部の「Pentium」プロセッサを悩ませた、有名な「FDIVバグ」の問題を修正した。
ほかにもGoogleの電卓機能の限界を発見した人たちがいる。例えば、2.00135558564^1023は、Googleの電卓機能では、1.79769313×10^308と解釈される。しかし、これよりもごくわずかに大きい2.00135558565^1023になると、Googleはこれを計算問題ではなく検索と解釈する。
このことから、わたしは次のような結論に達した。最後の例では、Googleは計算をあきらめ、人を惑わせることがないよう、単なる検索結果を表示する。これはいわゆる正常な故障モードだ。誤った結果を表示するよりは、結果を表示しない方がましだ。電卓を使うような複雑な計算こそ、上記の例と違って誤りに気づきにくい、ということを考えると、これは特に重要なことだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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