超能力者Uri Geller氏が、自身の能力に対する批判を抑えるために著作権法を悪用したとして訴えられていた訴訟で和解した。しかし、和解条件はほとんど公表されていないため、Geller氏の法的主張の正当性は、神秘的な同氏の存在と同様、依然として分からないままだ。
この法廷闘争が始まったきっかけは、長年Geller氏の能力を疑問視しているBrian Sapient氏が、人気科学番組「NOVA」のドキュメンタリー映像を使い、Geller氏の超能力の正体を暴露する内容の14分間のビデオを制作し、そのビデオをYouTubeに投稿したことだった。そのNOVAの映像の一部(約8秒間)の著作権をGeller氏が経営する会社Explorogistが所有しているため、同社はYouTubeに対し、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づいたノーティス・アンド・テイクダウン手続きに入った。それを受け、YouTubeはSapient氏のアカウントを凍結し、同氏が投稿したビデオの配信をおよそ2週間停止した。
これに対しSapient氏と電子フロンティア財団(EFF)は、その8秒間の映像の使用は公正使用にあたり許容されるとしてGeller氏を提訴した。DMCAは、ノーティス・アンド・テイクダウン手続きを行う者に対し、虚偽の申し立てをすれば偽証罪に問われるという条件の下で、侵害されたとされる独占権の所有者に代わって行動する権限があることを宣言するよう義務付けている。しかし、仮にSapient氏の主張が正しいとすると、Explorogistはこの要件に違反したことになる。
一方Explorogistも、問題の映像は、原告の著作権を侵害している一連の映像の中で使用されたとして、独自にSapient氏を提訴した。EFFのスタッフ弁護士を務めるCorynne McSherry氏は、Explorogistが提出した訴状は同社が拠点を置く「英国の事情」に基づいて書かれているが、「われわれは、問題の映像の使用はあくまで公正使用だと考えている」と主張する。
和解条件の大半は極秘だが(McSherry氏によると「このようなケースは他にもある」という)、Explorologistは和解の一環として、問題の映像をCreative Commonsの非商用ライセンスに基づいてライセンス供与することに合意した。金銭面の和解も成立したが、McSherry氏はどちらに有利な和解だったかは明らかにしなかった。この和解により、Sapient氏や他の人々は今後、その8秒間のビデオを使ってGeller氏の疑惑の超能力を自由に批判できる。しかし、Sapient氏がGeller氏に勝訴したのか否かは、訴訟当事者以外の人々は決して知ることはできないかもしれない。もっとも、超能力でもあれば別だが。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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