デジタルハリウッド大学、ngi group、サンワサプライらは7月18日、3D仮想世界の発展を促進する業界団体「メタバース協会」を設立した。この発表にあわせて同日、設立総会と記者発表会が開催された。
メタバース(Metaverse)とは、インターネット上の3D仮想世界を指す。協会のメンバーは、デジタルハリウッド大学やngi group、サンワサプライ、インプレスR&Dなど国内のネット関連企業数社。3次元仮想世界サービスというとLinden Labが提供する「Second Life」などが代表的だが、利用者も少ない。
メタバース協会は、「現在のところ業界自体は黎明期」と説明。認知活動や研究開発、関連情報集積、行政活動などにおいて、関係者の共同・協調の活動が不可欠である、と設立の経緯について説明した。
主な活動内容は、テクノロジー委員会や制度・知的財産委員会などの分科会の設置をはじめ、関連セミナーやカンファレンスの開催および開催協力、メタバースに関連した雑誌・ウェブサイトへの情報提供など。日本国内だけではなく、海外の関連企業および研究機関と協調し、業界標準規格の提言などもしていく予定。
理事長に就任したデジタルハリウッド大学大学院学長の杉山知之氏は、「メタバース協会では、いろいろな方が安心・安全にメタバースを利用できるような場所を発展させていきたいと考えている。国際標準の動きもあるので、日本側から提案していきたい。今後はGoogleやYahoo!にも参加を促したい」とした。
また、常任理事でデジタルハリウッド大学大学院教授の三淵啓自氏は、「メタバースは情報処理の技術だけでなく、感性の共有も必要になる分野と考えている。このため、日本人が、Second Lifeのような欧米の感性によって作られた世界に参加するには敷居が高い」と現状の問題点を語った上で「日本のコンテンツを世界中に広めていくためにはメタバースが最適。そのためにはソフト・ハード含めて世界標準に合った技術で作る必要がある」と期待や今後の課題について語った。
また、著作権保護や仮想空間での通貨の取扱いなど、法的な課題については大学の教授などともあわせて研究していくという。三淵氏は、「日本は検索サービスの面では、法的な面を考慮したため出足が遅れてしまった。メタバースではこのようなことがあってはならない。グローバルとローカルの両面から、研究開発、著作権保護なども含めて突き詰めていき、ライセンサーが安心してコンテンツを提供し、ユーザーが安全に利用できる仕組みを構築していきたい」とした。
設立時の役員は以下のとおり。なお、メタバース協会の年会費は、法人が12万円、個人が1万2000円で、会員は誰でも分科会などに参加できる。
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