iTunes、iLike、Imeemなどが手がけるアルバムリリースパートナーシップ。おかげで、ただでさえ困難な状態にあるレコードレーベルがさらに混迷を深めることになるかもしれない。だが一方で、これはデジタル音楽を宣伝する究極の方法となるかもしれない。
Last.fmは米国時間7月2日、Radioheadの節目となるアルバム「In Rainbows」の無償ストリーミングを開始したと発表した。
同アルバムは2007年10月のリリース。ユーザーが好きな価格でアルバムをダウンロードできる試みで話題になった。
この取り組みは終了し、現在はIn Rainbowsを無料ストリーミングしているサイトはほかにないものの、これまでの背景を考えれば、この発表は決して目新しいものではない。
しかし、すでに一定のファン層を持っているアーティストがデジタル音楽サービスと手を組んで発表する「デジタルリリース」は広がりつつある。R.E.M.は最新アルバム「Accelerate」をiLikeの広告付きストリームとして2月にリリース。5月には、女優Scarlett Johanssonがアルバム「Anywhere I Lay My Head」をImeemからリリースした。
こうした方式は、プロモーションを行うサイトにとってもアルバムにとっても利点があるようだ。アーティストにとっては大きな宣伝効果が得られる。ストリーミングする際に、メーリングリストへの参加や「ファン」としてサインアップするという条件を付ければ効果はとりわけ大きい。そうしたファンの中にはストリーミングを提供しているサイトを訪問するのは初めてという人もいるだろう。プロモーションの莫大な費用をどちらも負担しないとすれば、「アルバム」という概念がますます廃れていくにしても、来るべきアルバムの安価なプロモーション手段にはなる。
AOLとYahooは何年も前からリリース前の楽曲の「リスニングパーティー」などで同様のサービスを提供していた。しかし、Last.fmやiLikeなどのサイトは開発者用プラットフォームを使いFacebook、MySpace、Beboなどのソーシャルネットワーク愛好者にアクセスしやすいため、音楽愛好家のより広いネットワークを対象にすることができる。存在感を強めるデジタル音楽プレーヤーも追い風だ。iTunesとMySpaceは今や業界の主戦場である。
時間の問題で、こうしたプロモーション手法が浸透し、目新しいものではなくなるだろう。サードパーティーのウェブ企業がFacebookアプリケーションを作成するたびにメディアが記事にしていたあの頃も記憶に新しい。
編集部注:Last.fmは、News.comを発行するCBS Interactiveの関連会社です。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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