「Wikipedia」が登場する前は、百科事典と言えば「Encyclopaedia Britannica」だった。
若い人は知らないかもしれないが、わりと最近の1990年代くらいまでは、本棚に並んだ、きれいに装丁された分厚い百科事典の全巻が、多くの米国家庭に欠かせないステータスシンボルだった。
CD-ROMが発明されると、「Microsoft Encarta」が登場して、百科事典の内容を手軽にコピー&ペーストできるようになり、学生たちが手早く簡単に調べ物をするのに役立った。Enacartaは、短期間のうちに各地の学校図書館に置かれるようになったが、多くの教師からは目の敵にされた。今や学校では、コピー&ペーストで課題を済ませる行為、つまり「盗作」が悪いことだと、わざわざ授業で教えなければならなくなった。
無料で使えて誰でも編集できるWikipediaの人気が高まってくると、事典からの引き写しをやめさせようとする教育界も、参考図書類を販売しようとする出版業界も、ますます苦しい立場に追い込まれた。Britannicaの出版元であるEncyclopaedia Britannica Inc.は、従来の形の百科事典販売を維持するために、電子メールによるマーケティングを取り入れてきたが(ここ数カ月の間、筆者の元にも宣伝メールが何通か届いた)、業界での権威ある立場を取り戻そうと、ウェブへの取り組みを開始した。
同社の「Britannica WebShare」という取り組みは米国時間4月13日、Twitterに日替わりのトピックを投稿するところから始まった。そして4月18日、今度は「Britanica Widgets」というサービスが発表された。ブロガーはこのウィジェットを利用して、無料で「ブログの内容に関連するEncyclopaedia Britannicaの項目を全文掲載」できる。
また、「ブロガーであれ、ウェブマスターであれ、あるいは文筆家であれ、ほぼ定期的にインターネットで情報発信している人」は、登録をすればBritannicaのオンラインコンテンツに無料でアクセスできるようになる。
Britannica WebShareのブログを担当しているTom氏は、4月18日の投稿の中で、Britanica Widgetsを利用するためには、「各項目ごとに割り当てられたHTMLコードを、サイト内の適切な位置にコピー&ペーストする」だけでよい、と説明した。「サイトの読者がウィジェット内のリンクをクリックすると、通常なら登録しないとアクセスできない項目でも、Britannicaの項目の全文を読むことができる。本当だ。試してみてほしい」
現在利用可能なウィジェットには、飼い猫、トカゲ、ノーベル賞など、画像を含むカラフルな項目が多数ある。Tom氏によると、今後数週間でさらに多くの項目を追加するという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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