MicrosoftがYahooに対して行った買収提案が世間を賑わせていた2月上旬、筆者はYahooの「Flickr Video」が間もなく公開される見込みであると書いた。長い道のりだった。筆者がFlickr共同設立者のCaterina Fake氏にFlickr Videoについて初めて取材したのは2005年12月だった。
米国時間3月15日夜にサンフランシスコで開催されたFlickr開設4周年を祝うパーティーの開始から数時間か経った頃、Flickr共同設立者の1人であるStewart Butterfield氏を含む複数のYahoo関係者が「間もなく公開される」という言葉を口にした。さらに取材を進めた結果から、「間もなく公開される」とは、Flickr Videoのベータ版が4月に公開されることを意味するようだ。
2005年3月にYahooに買収されたFlickrは、写真共有というコンセプトを生み出したが、サービス範囲の動画への拡張は遅々として進まなかった。一方、Googleの「YouTube」は最大の動画共有サイトとしての地位を獲得するに至った。comScore Media Metrixによると、米国で公開されているオンライン動画の3本に1本がYouTubeに投稿されたものだという。Fox Interactive Media(MySpace)は、米国内における1月の動画ビュー約100億件のうち6%を獲得した。Yahooの「Yahoo Video」は、3.2%のシェアを獲得したとしている。
Yahoo Videoが、Flickrに吸収された「Yahoo Photo」のように、Flickr Videoに取って代わられることはないと思われる。Flickrでプロダクトマネジメント担当ディレクターを務めるKakul Srivastava氏は、Flickrとはユーザー層が重複しないと筆者に語った。同氏は「信頼性」という言葉を用いて、2300万人以上が投稿するFlickrのフォトコミュニティーが持つ一体感について説明した。
Flickrは、サービス開始以来、純然たる写真サイトであり続けてきた。サービス対象に動画を加えることは、コミュニティーが受け入れやすい方法で実施しなくてはならない。別の言い方をすれば、YouTubeに対抗することを主たる目的として動画サービスに参入した場合、コミュニティーの魅力が損なわれる可能性がある。Flickrコミュニティーに対し「信頼できる」方法でアピールしなくてはならない。
動画共有サイトはYouTubeが大きなシェアを握る一方、ウェブの世界で急速な成長を遂げている。Yahooにとって問題なのは、筆者を含め多くのFlickrユーザーが動画の共有に他のサイトを利用しているという点だ。彼らを呼び戻すのはたやすいことではない。Flickrで動画サービスを開始するために費やされた膨大な時間が果たして価値のあるものであったかどうか、1カ月後には明らかになるだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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